そして、その「簡単」は、ボールのライの話に留まらず、体に込める力、体から抜く力なども含めたゴルフ全体の組み立てにも関わってくるのだという。
「ラフから打つときは腕に力を入れるし、体の動きも全然違う。それを続けて、そのあとフェアウエイから力を加減しながらウエッジでアプローチショットを打つのは、組み立てがすごく難しかった。だから、それと比べたら、フェアウエイから打ち続けられるのは、すごく楽でした」
曲芸みたいなゴルフで苦しみながら、耐え抜くゴルフを続けてきたからこそ、3日目の後半以降の石川は、ようやく訪れた「楽」を堪能し、その恩恵を享受しながら、「打つこと」から「スコアを作ること」へ意識を向けることができた。
フェアウエイを捉えられれば「全然違う」と言った石川の一言には、実はそんな深い意味や背景があった。
ひょっとしたら「イシカワのゴルフは面白い」と言っていた、あの米国人ギャラリーのご老人は、そんな深いところまでお見通しの上で「interesting(面白い)」と言っていたのかもしれない。