初出場のプレーオフ。勝ち残り方式ゆえ、1つでもいいスコアを出し、1つでも上の順位に入らなければ次戦へ進める可能性は激減していく。ましてや75位で第1戦を迎えた石川には、あまり余裕はなく、普段から重い1打の重みは、プレーオフを迎えた石川にとっては、とりわけ重い状況だ。
だからこそ、16位で迎えた最終日は微妙な位置だった。アグレッシブに攻めてスコアを伸ばしたい気持ちと、攻めすぎて自滅しちゃいけないという気持ちが交錯し、「どうシフトさせるかが難しかった」。
そして、石川は後者を選んだ。「順位を落とすことは、なくしたかった」。攻めるゴルフをモットーにしてきた石川が、攻めすぎず、1打も落とさず、順位も落とさないゴルフに徹する。それは、いろんなものを制御しなければならず、至難の業だったはずなのだ。
だが、最終日の石川はそれを見事にこなしていた。ショットは少しずつ上向き、パットは「10センチだけ打ててなかった」と振り返ったものの、ショットと小技とパットでそれぞれ補完し合い、大怪我を防いだ彼のスマートなプレーぶりは「4日間で一番」という自画自賛に値する内容だった。
普段とは逆を目指すゴルフがうまくできたのは、初日から3日目の後半まで、ラフからグリーンを捉える曲芸みたいなゴルフをやり続けたおかげ。だから、いざフェアウエイに行き始めたとき、ファエウエイのありがたみが逆によくわかり、「全然違う」「簡単」と思えたのではないか。そう思えて石川に尋ねてみたら、やっぱり彼も頷いた。