2013年マスターズでのアダム・スコットとのエピソードは賞賛を浴びた
最終日を首位に2打差の2位で迎えたカブレラは後半で首位に浮上。13番のイーグルで2位との差を3打へ広げたが、直後に2連続ボギーを喫した。しかし、2位との差がわずか1打しかなくなった苦しい状況下、上がり3ホールの攻めっぷりは圧巻だった。それは、まさしく「カブレラのゴルフ」だった。
カブレラを眺めていて、いつも感じることがある。彼は何に対しても割り切りがいい。いや、割り切りというよりも「白か、黒か」「イエスか、ノーか」「1か、100か」という具合に、スパッと答えを出そうとする。その姿勢は、きっと彼の人生の歩みの中から生まれ出たものなのだと思う。
幼いころ、母国アルゼンチンのゴルフクラブでキャディとして働いていたら、そのクラブのメンバーだったプロゴルファーのエドアルド・ロメロからゴルフをやれと勧められた。「やるか、やらないか」。人生やキャリアの分岐点は常に2者択一の決断を求められる。2つに1つの賭け。カブレラは「やる」を選び、15歳でゴルフクラブを初めて握った。それから5年間、血の滲むような必死の練習を積み、20歳でプロゴルファーになった。
これまで米ツアーでは07年全米オープンと09年マスターズの2勝のみ。いや、彼の強さで「たった2勝」と感じるからこそ「2勝のみ」とついつい書いてしまうのだが、その2勝は「メジャーのみ」なわけだから、「メジャー2勝もしている」と書くべきなのかもしれない。そんな彼の極端な戦績さえもがカブレラらしさの象徴に思える。