言うまでもなく、ロケット・モーゲージはデシャンボーとの契約を即刻解消。大会側はデシャンボーの姿が印刷されているチケットは「そのまま有効です」というメッセージを購入者に伝えるなど、本来なら要らぬ手間をかけさせられた。
だが、大会の舞台となったデトロイトGCのヘッドプロは「素晴らしい大会にしようという人々の想いが1つになっている」と語気を強め、その言葉を裏付けるかのように、大勢のギャラリーが詰め寄せていた。主戦場を選ぶ権利は選手にあるとしても、権利を主張する以前に、受けた恩義に報い、感謝の念を示してほしい。1人の人間として、次世代の子どもたちの範となってほしい。
そういう心や姿勢が伴わないゴルフは、観戦する人々の心を動かすことはなく、感動を呼ぶ戦いにはならないのではないだろうか。「次世代の子どもたちに希望と励みを」と涙ながらに語ったフィナウの感動の2週連続優勝を眺めながら、そんなことを考えた。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

