その言葉は、勝利から遠ざかっていたこの7年間、トンプソンがどれだけ悔やまれるゴルフをして、どれだけ悔し涙を流してきたかを物語っていた。
安定したスイングが得られるよう試行錯誤を繰り返したが、ゴルフでは「なかなか勝てず、フラストレーションが溜まった」一方で、養子縁組をして愛妻と子どもたちがいる幸せな家庭を築き、私生活の安定に努めてきた。
だが、ゴルフと家庭の双方で満足が得られなければ、充実した人生にはならないことは、トンプソン自身、痛いほど感じていた。米ゴルフ界で聞かれる「1勝目は運もある。2勝目を挙げてこそ本物」というフレーズが何度も木霊して聞こえ、プレッシャーになっていたという。
「(今日までの日々は)長かった。今、この場に妻と子どもたちがいないことが淋しい。妻はずっと僕を信じ続け、支え続けてくれた」
込み上げる想いを抑え切れず、トンプソンは何度も言葉に詰まり、そのたびに涙が溢れ出した。7年の歳月を経て、ようやく2勝目を挙げ、「本物」であることを実証したトンプソンに、思わず、もらい泣きさせられた。
