ニクラスはラームに歩み寄ったが、戸惑いが芽生えたのか、差し出した右手をグーにしたり、パーにしたり。そしてラームはグーを差し出し、結局、2人はグータッチをしていた。だが注目すべきは、握手か、グータッチかではなく、ラームがローリー・マキロイと入れ替わり、弱冠25歳にして世界ナンバー1に登り詰めたことだ。
「世界一になることは、13歳、14歳ぐらいからの僕のゴールだった」
米アリゾナ州立大学へゴルフ留学した当初は英語もわからなかったが、米国人の恋人ケリーが懸命に支えた。2016年にプロ転向後、喜怒哀楽は激しいものの、17年から毎年1勝ずつを挙げ、戦績は高いレベルで安定している。ケリーは妻となり、私生活面も安定。だが、コロナ禍では母国で暮らす親族を「2人も失った」と深い悲しみも抱えている。
だからこそ、ゴルフで頑張り、グッドニュースを届けたいとラームは言う。
「世界一になり、スペインの歴史に加わったことを、僕自身、楽しみながら、これからも頑張っていきたい」