独自の道を切り開き、プロゴルフの世界で戦っているひとりの選手がいる。26歳の女子プロゴルファー・識西諭里（おにし・ゆり）がその人だ。日本でのツアー生活を目指すも、今年8度目となったプロテストでも合格をつかみ取れず、現在欧州ツアーをメインに世界各国を股にかけての転戦を続けている。“未知の世界”に飛び込んで奮闘する姿を追う。日本で3週間ほどのオープンウィークを過ごし、今週は16日に開幕する「マヨルカ女子オープン」に出場するため、スペインに渡った。

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みなさん、こんにちは！　今週はバレアレス諸島のひとつの“孤島のリゾート地”というような場所に来ています。すぐ近くにはもちろん海も！ 治安が心配なのであまり歩き回ることはないですが、暖かい気候のなか過ごせています。そしてコースですが、距離は短いけど全体的に狭く、ティフトン芝も厄介…。ラフに行くと飛ばないし、グリーン周りのアプローチもクセがあるので、とにかくフェアウェイキープ、パーオンは必須ですね。

今週の試合を終え、シード圏内にいる選手（ポイントランキング上位70位まで。現在、識西は81位）が、来週同じスペインで行われる今季最終戦に出場することができます。3日間大会で予選カットがないのはラッキーですが、今の私のゴルフはまだ探り探りという状態。この3日間をプレーして、最後にいい感覚が得られていたり、『こうやっていたなぁ』といういいイメージを思い出していきたいと思っています。

7月から悩まされているショット不振は、多少マシになってきたものの、まだ完治には至っていません。練習場ではよくても、コースの景色のなかで打つとまだギャップが…。そんな状態です。日本に滞在している間には、『少しゴルフから離れれば、何か変わるかもしれない』と思って5日ほどクラブを握らず、練習はトレーニングのみという時間も作りました。こんなにクラブを握らないのは初めてのことだったのですが、すごく長く感じるものですね。

いろいろな方にアドバイスをもらってそれを試したりもしましたが、『ゴルフってなんだろう？』なんて考えたり、友達とのラウンドでも『うまくいかないとゴルフって楽しくないんだな』とか思ったり…。そんな毎日でした。『試合に出ても仕方ないかな…。いや、どーにかしないと！！！』。そんな風に葛藤を抱えている時に、コーチ（井上透氏）から本牧（神奈川県）にあるスタジオに招かれたので、スペインに向かう飛行機の予定なども変えて、お邪魔しました。

そこで新たにスイングのデータを取り、これまでの私のデータと比較しながら調整することができました。それを基にアドレスを少し修正したら、『前はこう打っていたな～』とか、『これならゴルフになりそうだな』という感覚を抱くこともできて。調子が悪いと、スイングをいろいろ試したくなるものですが、やっぱりアドレスが大事なんだな、ということも改めて感じることができました。なにより、データ的にいい数値が出ていることも知れたし、行って良かったなと思っています。

今週の試合はシード獲得という意味では、上位進出が必要です。ただ、ひとりで悩んでいる時間が最近は多いので、“人生明るく！”となるようなプレーをしていきたいです。そして今週は気楽なセルフプレーでいきます。欧州ツアーのキャディさんは、たまに“クセが強い方”とも出会うので、今週は気ままにカートを押しながらプレーしていこうかな～と思っています。さぁ、しっかり目の前の一打に集中！…ですね。

■識西諭里（おにし・ゆり）
1997年4月16日、福岡県出身、26歳。福岡第一高卒。9歳でゴルフを始め、2015年の福岡県民アマチュアゴルフ選手権優勝などの実績を残す。昨年は予選会を突破し6月の「全米女子オープン」に出場。米国、欧州ツアーの予選会にも挑戦し、現在は欧州を主戦場にしている。身長166センチ。株式会社梅の花所属。