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「どれくらいのスピードでレベルアップできるか」世界一を目指す23歳が語った“哲学”【笹生優花・開幕前インタビュー】

昨年の「全米女子オープン」で大会2勝目を挙げ、パリ五輪にも出場した笹生優花にインタビューを敢行。これまで、そしてこれからを語ってもらった。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2025年1月22日 03時00分

新シーズン開幕目前の笹生優花が語った“ゴルフ哲学”とは?
新シーズン開幕目前の笹生優花が語った“ゴルフ哲学”とは? (撮影:村上悦子)

今季の米国女子ツアーは、来週30日からの「ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(米フロリダ州・レイクノナG&CC)で開幕。過去2年間の優勝者しか出られない大会で、昨年2度目の「全米女子オープン」優勝を果たし、夏には日本代表としてパリ五輪にも出場した笹生優花もシーズン初戦を迎える。その開幕を前にALBA Netのインタビューに応じ、大目標として掲げる「世界一」への想いなどを語った。前編、後編の2本立てでお届けする。(取材/構成・間宮輝憲)

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■笹生優花にとっての“全米制覇”の意味

――まず昨年を振り返りどういった一年でしたか

「いい思い出もたくさん作れましたし、毎年のようにいい経験もできています。ゴルフ場の内外でいい勉強ができていて、本当にいい一年だったと思います」

――2度目の優勝を果たした「全米女子オープン」についてお聞かせください

「ゴルフの内容もよく、いい結果につながりました。優勝できてすごくうれしかったですね。(最終日は)緊張はしていましたけど、一緒にラウンドしていた小祝(さくら)さんとか、その試合に出ていた選手たちと楽しくゴルフができました。緊張はしていたけど楽しかった、そんな一週間でしたね」

――2度目の全米制覇はどういう意味を持ちましたか

「普通の試合と比べるのは失礼になりますが、やはりメジャーは特別な試合だとも思います。ゴルフ面でも、いろいろな意味で“テストされる試合”。そんな意味のある試合で勝てたことは大きいですよね」

――2021年大会で初優勝し、米国へ渡るきっかけにもなった試合です。その時との違いは感じましたか

「なかなか比べることは難しいですね。最初に勝った時は、(当時19歳で)まだ20歳にもなっていなかったし、(最終日)最終組でした。同じ試合ではあるけど、3年前とは最後の18ホールのシチュエーションも大きく異なりました。共通していたのは、楽しくゴルフができたという点です」

――今後は全米での3勝目はもちろん、他のメジャー大会での活躍にも期待がかかります

「もちろん、みんなどのメジャーでも勝ちたいと思っているはず。自分もその夢に向かって今も練習しています。同じ大会で何回も勝つこともうれしいですけど、違う大会でも勝てたら、それは光栄ですね」

昨年の「全米女子オープン」では、再び父の正和さんと一緒にカップを掲げることができた

昨年の「全米女子オープン」では、再び父の正和さんと一緒にカップを掲げることができた (撮影:GettyImages)

■パリ五輪で残った“ちょっぴり”の後悔って?

――昨夏にはフィリピン代表として出場した東京に続き、日本代表として2度目の五輪出場も果たしました。アスリートにとって五輪というものはどんなものですか

「(五輪競技になっている)他のスポーツと違うのは、ゴルフは試合数が多いこと。(五輪は)特別な週ではもちろんありましたけど、アプローチの仕方は、普段の試合と同じになります。五輪前にも試合があって、五輪後にはメジャーもあった。他の競技の選手に比べると、普段通りになってしまうのは仕方がないかなと感じます。東京五輪はコロナ禍での開催でもあったし、比べるのは難しいですけど、すごく楽しかったですね」

――そのなかでも五輪ならでは、という雰囲気は堪能しましたか

「他の競技のアスリートがゴルフを見に来ることは、メジャー大会でもないこと。それは普段の試合とは違う部分でした。自分も(他競技を)見に行きたかったんですけど…、ゴルフの会場は(メイン会場から)遠いので行けませんでした。東京五輪もそうだったんですけど、他のスポーツを見に行くというのはゴルフの選手にはなかなか難しいんです。そういった意味では、五輪を100%は楽しめてなかったかもしれないです」

――見に行きたかった競技は

「どの競技も見たかったんですけど、特に卓球ですかね。ただ(ゴルフ場から)1時間以上かかったし、そうなると行く勇気が出なくて…。もっと五輪を味わいたかったですね(笑)。ゴルフは月曜日から会場に入って、練習すると一日が終わる。選手村も30分くらいの距離であれば行ってみたかったんですけど、難しかったですね。でも何人か、ゴルフが好きなアスリートが来てくれて、お会いできたので、それはよかったです」

――やはり五輪は何度も出たくなるものですか

「4年に1度なので、次(28年ロス五輪)に出られるのは27歳。4年先と考えると、まだまだ遠いなとは思います。長い(選考)レースになりますし、まずはシーズンに集中して、その間に成長できればと思います」

■目標へ向け「勉強」の毎日

――これまで目標に「世界一」を掲げてきました。そこに向け意識していることは

「ゴルフ全体をレベルアップしていく必要があるのは、誰もが分かっていること。あとは、どれくらいのスピードで、レベルアップできるかだと思っています。決して簡単なことではないですし、何をしたら世界一になれるかという答えは分からない。とにかく一日一日、きのうより少しでも成長できれば、と今は考えています。『これをやれば絶対に世界一になれる』というものもないので」

――ご自身のなかで「世界一の選手」のイメージといえば

「う~ん、世界ランキング1位が世界一なのか、例えば殿堂入りすることが世界一なのか、など、いろいろな考え方があると思います。人に認められたら世界一なのか、結果だけ見て世界一なのか、とか。ただ、ツアーでプレーしていくうえで、世界ランキング1位というのは、ひとつの目安として分かりやすいですかね」

インタビューでは昨年のことから、これからについてまで語られた

インタビューでは昨年のことから、これからについてまで語られた (撮影:村上悦子)

――よく笹生プロは「勉強」という言葉を使いますが、日々、どういったものを“勉強”ととらえているのでしょうか

「ある瞬間に自分が『あの人のこういう部分がいいな』と思うものもありますし、何か特定のものを求めているということではなく、その瞬間に感じたものが勉強になります。もちろんゴールは決まっていて、そこに向かっていくわけですが、プロ生活を送るなかで感覚は毎日変わっていく。その時に感じたもの、見たもの、生活をしていて気づいたこと、そのすべてが勉強になると感じています」

――会場では他の選手や海外の先輩プレーヤーとよく話している姿も見かけます。それも勉強のため、という感覚はあるのでしょうか

「あれは…ただ自分が無理矢理に話しているだけです(笑)。ツアーにはコミュニケーションを必要にしている人もいれば、ひとりでやれる人もいる。自分はみんなと仲良くゴルフをしていることがうれしいだけ。みんなと話したり、先輩から話を聞くのが楽しい。ゴルフ以外の話も好きですし、そういうこともあって、プロツアーを楽しめていると思います」



後編では今季増える日本勢のこと、クラブ観、スイングなどについて語ってもらった。そしてテーマは“2025年シーズン”へと向かっていく。

次回はクラブ観やスイングの話もお届け

次回はクラブ観やスイングの話もお届け (撮影:村上悦子)

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