<資生堂・JAL レディス 3日目◇4日◇戸塚カントリー倶楽部 東コース(神奈川県)◇6487ヤード・パー72>
ツアーに出場する選手では最小、身長146センチの大須賀望が、大きなタイトルに王手をかけた。2打差5位から出て5バーディ・ボギーなしの「67」で回り、トータル10アンダー。永井花奈、アマチュアの長澤愛羅と並ぶ首位タイで最終日を迎える。
前半で2つ伸ばして折り返すと、取りたい11番パー5でしっかりバーディを奪った。この日のいい流れを作ったが、「おまけバーディみたいな感じ」と話す。
その内容を聞くと…。ティショットが右のフェアウェイバンカーにつかまり、左足が外という悪いライで「出すだけ」。3打目は残り170ヤードで、左奥の易しくないピン位置。それでも「いいショット」と自画自賛の一打が、ピンそば1メートルについて、“おまけ”みたいなバーディを取った。
その3打目に使ったクラブが、ロイヤルコレクション『RC-VX』。1992年に神戸で生まれたクラブメーカーで、2000年代前半にはフェアウェイウッドやユーティリティで一世風靡。往年のゴルフファンには“ロイコレ”の愛称で知られる。
大須賀は最新モデルのユーティリティを4番(22度)、5番(25度)、6番(28度)と3本入れているが、このクラブが“最小プロ”のゴルフを劇的に変えた。ウッドやロングアイアンで球が上がらないことが長年の課題だったが、「勝手に飛んでくれるし、勝手に上がってくれる」という性能にほれ込んだ。今週もパー3やパー5のレイアップなどで重宝している。
ロイコレと出会うきっかけは、24年末から師事する山形嘉彦コーチ。大須賀に合ったクラブセッティングに見直したり、フェードだった持ち球をドローに変えた。「グリップもアドレスも、バックスイングの上げ方も、コーチに言われるがまま」。スイングは大工事を行い、ひたすらボールを打ち込んだ。長いときはインドアレンジで9時間、1日1000球打つこともあったという。
ドローに変えたことで、ドライバーの飛距離は15ヤード以上伸び、こちらも課題だった飛距離不足を補えるようになった。
ルーキーイヤーの23年は下部ステップ・アップ・ツアーで2勝を挙げ、賞金ランキング2位に入った。レギュラー前半戦出場権を得られた翌年は、20試合に出場したが、予選通過はわずかに4回。不調に陥ったが、山形コーチと再生。ステップ今季開幕戦で優勝を果たすなど、二人三脚で這い上がってきた。
そして今週、主催者推薦で急きょ出場が決まると、2日間続けて「67」をマークし、優勝争いに加わった。「レギュラーツアーでここまで緊張しないでできている」と、キャディバッグを預けるプロ同期で仲良しの千葉華の存在が大きい。
レギュラーでは昨年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の29位タイが最高成績だが、ステップでは3勝の実績がある。優勝となれば、馬場ゆかりの身長149センチを更新するツアー史上最小優勝。そして、宮城県出身選手として初のツアー優勝という歴史を刻むことにもなる。
周囲からはメンタルが強いと評されるが、「レギュラーでは初めての優勝争いなのでどうなるか分かりません」。小さな挑戦者が、初めての優勝争いに挑む。(文・小高拓)
