白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■TOTOジャパンクラシック(11月6~9日、滋賀県・瀬田ゴルフコース 北コース、優勝:畑岡奈紗)
パー5からパー3に変更された18番。変則プレーオフの1ホール目だった。2メートルのパーパットを沈めた瞬間、両手を突き上げた。1295日ぶりの勝利。歓喜と安どが入り混じった涙が、雨粒と一緒に頬を伝った。
ハグを交わしたのは、ジュニア時代から知る木名瀬和重キャディ。初めてタッグを組んだ今大会で、最も苦しい時間を知る相手と分かち合った復活の瞬間だった。朝から降り続いた雨は止まらなかったが、表情は晴れやかだった。
「最後のパットは、どうやって打ったのか覚えていません」。勝てない時間が続いた。スランプではない。優勝争いには絡み、メジャーでも上位にいた。それでも勝てなかった。その事実が、第一人者としての自分を追い込んでいた。
若い世代が次々と勝ち、名前が呼ばれなくなる感覚もあった。それでも、考えすぎないことを選んだ。「構えたら、タッチと距離感だけ」。悩み続けたパッティングは、経験が導いたシンプルな答えで救われた。
約2時間の中断、最終ラウンド中止、そして突然のプレーオフ。不確定要素だらけの状況でも、心と体を整え、特設ティに立った26歳は動じなかった。
苦しんだ時間があったから、この一打がある。「次はメジャーを勝ちたい」。雨中の復活劇は、再び頂点を見据える第一歩になった。
