<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 初日◇22日◇マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6520ヤード・パー72>
狙うは、例えるなら逆転サヨナラ満塁ホームランだ。メルセデス・ランキング(MR)104位の中村心が6バーディ・ボギーなしの「66」をマークした。ツアー通算49試合目にして初めて首位に立った。7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」初日に並ぶ自己ベストでロケットスタート。崖っぷちからの奇跡の生還に向け、プロ2年目の20歳が最高の滑り出しを見せた。
「ショットもよかったし、パッティングも結構よかったです。前半はちょっと難しいアプローチもあったけど、しっかりパーセーブができて流れを切らさずに回れました」
自力で試合に出場できないQTランキング82位からスタートした2年目のシーズンは、序盤から主催者推薦枠を積極的に活用。だが、第1回リランキング(RR)は54位、第2回RRも49位にとどまった。「早めにポイントを稼いでリランキングを突破したかった」という目算は崩れた。最高成績は4月の「KKT杯バンテリンレディス」の12位。第2回RR以降に出場した試合は、予選会を突破して出場権を得た日本ゴルフ協会(JGA)主催の「日本女子オープン」だけだった。
「今週が今年最後の試合。あまり深くは考えていないけど、出る試合はいつも優勝したいと思っています」
今週は、手元に残していた主催者推薦枠を最後のカードとして切った。現状では今季最終戦。2位に入り180ptを加算しても、シード獲得の目安となるMR50位以内には届かない。3位以内に入れば、翌週の「樋口久子 三菱電機レディス」にも出場できるが、狙うのは大逆転での優勝シード。そこに照準を合わせ、勝負の4日間に挑んでいる。
今季は19試合に出場。フェアウェイキープ率は55.3%(89位)、パーオン率は63.2%(67位)。「今年はシーズンの序盤からずっと悩んでいた」というショットの乱れは、9度の予選落ちにも表れている。現状を打開するため、6月には青木瀬令奈のコーチとして知られる大西翔太氏と正式に契約。そこから徐々に状態が上向き、「翔太さんに見てもらい、いろいろアドバイスをもらって、いい感じにかみ合ってきた」と手応えを口にする。8月以降の予選落ちは1度だけ。小技の名手である青木や、同じく大西門下の安田祐香と行動をともにすることで、気持ちも明るくなった。
「今までは一人で悩んでいたけど、瀬令奈さん、祐香さんにも相談できる。そこが一番大きいところかなと思います」
7月の「明治安田レディス」初日以来、今季2度目のボギーなしラウンドとなったこの日は、ショットの精度も向上。フェアウェイキープ率は78.6%(11/14)、パーオン率は83.3%(15/18)を記録し、本来の切れ味が戻ってきた。
「自分へのプレゼントとして優勝できたら本当に最高です。きょうはパー5でバーディが取れなかったので、明日は頑張ってパー5でバーディを取りたいです」
大会最終日の25日は、21歳の誕生日。これまで国内女子ツアーでバースデーVを達成したのは9人だけだ。大団円を迎えられれば、まさに逆転サヨナラ満塁ホームランとなる。日本女子オープン後は下部のステップ・アップ・ツアー2試合に出場したが、いずれも兵庫県での開催。ステップの試合から同じホテルに宿泊し、「人生最長の20泊です」と笑った。笑顔を取り戻した中村が、ここからさらにギアを上げ、最高の誕生日を迎えられるか。(文・臼杵孝志)
【国内女子ツアーのバースデーV】
1987年 伊藤園レディス 谷福美 28歳
1999年 住友VISA太平洋レディース 安井純子 39歳
2001年 富士通レディース 不動裕理 25歳
2008年 サントリーレディス 上田桃子 22歳
2009年 IDC大塚家具レディス 全美貞 27歳
2009年 大王製紙エリエールレディス 有村智恵 22歳
2012年 meijiカップ フォン・シャンシャン 23歳
2016年 CAT Ladies イ・ボミ 28歳
2019年 フジサンケイレディス 申ジエ 31歳
【注】1988年のツアー制度施行前を含む。年齢は優勝時
