白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■樋口久子 三菱電機レディス(10月31~11月2日、埼玉県・武蔵丘ゴルフコース、優勝:仲村果乃)
先週の予選落ち後、プロ3年目の仲村果乃は迷っていた。オーバースイング気味になり、持ち味の正確性が影を潜んでいた。頼ったのは、ツアー通算29勝のレジェンドで師匠の吉川なよ子。「大丈夫」。その一言が、仲村の背中を押した。
迎えた最終日。首位と3打差からスタートすると、淡々と流れを待った。11、12番で連続バーディを奪って首位へ。15番パー3では9メートルを沈め、「いける」と確信した。18番もきっちり寄せて、2打差でツアー初優勝をつかみ取った。
勝因は“やり切る”決断だった。気になっていたトップの大きさを思い切って修正。師匠の助言通り、極端なイメージで振り切ったことでリズムが戻り、フェアウェイとグリーンを外さないゴルフがよみがえった。「前に行きすぎない。チャンスは必ず来る」。勝ち方を知る師匠の教えを、最後まで貫いた結果だった。
優勝後に電話で報告すると、師匠は涙を流して喜んだという。「先生を超える30勝が目標」。初勝利はゴールではない。レジェンドの言葉を胸に、仲村の物語はここから加速していく。
