実は渋野は本大会に出場するのは初めて。ツアーデビューした2018年は、レギュラーツアーに出場したのは「アース・モンダミンカップ」の1試合のみ。翌19年は本格的に参戦し、国内ツアー4勝、「AIG女子オープン」優勝など大活躍したが、富士通レディースはスキップ。20年も米ツアー参戦のため欠場している。
練習ラウンドで回ったコースの感触はどうだったのか? 「グリーンは速く仕上がっていますが、止まらなくはない。ラフは長くはないけど、根が強くて難しそう。調子はやってみないと分からない感じではありますが、悪くはありません。スコアは3日間で2桁に持っていかないと優勝はできないかな。でも、やるべきことをやれれば優勝できると信じています」
前週の優勝コメントで、「2019年の渋野日向子を超えたい」と言っていたが、言い換えれば「新しい自分を見つけたい」ということだという。渋野は、そのスタート地点にやっと立てたのだ。「優勝の味はカレーせんべいの味かな」とも言っていた。それは甘美なものではなく、ちょっとピリッとしたものだったのだろう。この向上心がある限り、渋野の成長ロードはまだまだ続く。前週の優勝を見た盟友・稲見萌寧が「あなたが一番似合う場所」とインスタグラムでコメントをしていた。その言葉を見たときに「ドキッとしてうれしかった」と渋野は言う。
今週はもちろん、これからまた何度も、一番似合う場所に立った渋野日向子を見ることができるだろう。かつてのようにドライバーをマン振りしてしっかりと振り切る渋野の姿を見て、それが期待で終わらないことを確信した。果たして次の優勝は何味になるのだろう。