きょう行われた会見では、当時の印象的なできごとを聞かれ、涙する場面も見られた。「初めて山元町を訪れた時、小学校の体育館に津波で流されたものが並べられていた。キッチン用具やランドセル、アルバムや位牌など。引き取りに来る人もいて、全部がそうあって(引き取られて)欲しいと思いました」。今もこの光景は、まぶたに焼きついて離れない。
「スランプに陥って諦めそうになった時も、子供たちや東北の人がみているから頑張らないとと思えました。間違いなく力になっている。こういう活動で出会った人に支えられた10年でした」
ゴルファーとしての自分の存在意義に疑問を抱いてから10年が過ぎた今、有村はスポーツ、そしてエンターテインメントの重要性を信じることができている。「コロナ禍でガマンを強いられているなか、スポーツを見ていろいろ感情を動かすことは大切だと思います。女子ゴルフもたくさん注目してもらっている。これからも、自分がいい成績を残すことで前向きになる人がいると思ってプレーしたい」
今やれるべきことにベストを尽くすことに変わりはない。「いい成績を残して、このコースにいい思い出も刻みたいですね」。こんな気持ちも胸に、明日から始まる大会へと向かっていく。