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“苦闘の1年”その集大成はメジャーでの優勝争い 渋野日向子『価値ある』2020年を振り返る

“苦闘の1年”その集大成はメジャーでの優勝争い 渋野日向子『価値ある』2020年を振り返る

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2020年12月23日 07時00分

その後はディフェンディングチャンピオンとして臨む英国でのメジャー大会出場などのため、コロナ禍のなか海を渡り約2カ月間にも及ぶ海外転戦を続けた。しかし、メジャー前哨戦の「スコットランド女子オープン」、続く全英ではリンクスコースの前になすすべなく予選落ち。米本土で行われたメジャー2試合を含む4試合は、すべて決勝ラウンドへと進んだが、トップ20入りもない“平凡な結果”に終始することになった。

遠征最終戦となった「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」を終えた後、“メジャー女王”という意識について問われた渋野は、こう答えている。

「もう捨ててもいいんじゃないかなと思う。日本では何かを背負わないといけないかもしれないけど、恥ずかしいぐらいのレベルの低さ。結果で見たら優勝こそしたけれど、技術で私よりレベルが高い人が何百人、何千人といる。こっち(米国)で戦うとしたらメジャーチャンピオンという肩書は捨ててもいいと思いながら回りました」

6試合を戦った後、日本に帰国。10月30日開幕の「樋口久子 三菱電機レディス」が国内復帰戦となった。しかしここでも予選落ち。海外転戦終盤には、ショットの復調については手応えを示していたが、ここからパッティング面の不振をこぼすようになっていた。「受け入れたくない結果」。再び唇を噛むことになった。

それでも、この後は徐々にその顔に笑みが戻り始めた。続く「TOTOジャパンクラシック」は予選落ちがない試合だったため、3日間思い切ってプレーできた。さらに翌週の「伊藤園レディス」では、“呪縛をとく”予選通過。この結果が「気持ちを楽にする」ため大きかったと、渋野はのちに語っている。冬の愛媛が舞台となった前年優勝大会の「大王製紙エリエールレディス」は5位フィニッシュ。この頃になると「いい時を思い出しながら、納得のいくストロークができるようになりました。転がりも良くなった」とパターへの不安も小さなものになっていた。

冒頭のリコーカップ開幕前。報道陣を前に明るい声で、「絶好調です!」と言って笑う渋野の姿があった。これは強がりでもなんでもなかった。ショット、パットともに充実感を覚え、国内最終戦に臨めた。またここでは、アプローチの際「使うのが怖かった」といって“封印”してきた52度のウェッジを多用することも宣言。次のステップに改めて進むための準備と覚悟ができたことをうかがわせた。

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