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優勝争いでも屈託のない笑顔 『楽しむ』ことは強さなのか【記者の目】

優勝争いでも屈託のない笑顔 『楽しむ』ことは強さなのか【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
秋田 義和 / Yoshikazu Akita

配信日時:2020年11月24日 08時00分

これを聞いて、すごく能動的だと感じた。優勝できて「楽しい」ではない。いいショットができて「楽しい」でもない。何が起きても、自分で「楽しむ」。悪いことがあっても、その状況を常に前向きに考えるということだ。そう捉えるとしっくりくる。この違いはとても大きい。

実は、上田はこれに似たようなことを前週の「伊藤園レディス」でキャディを務めた辻村明志コーチから言われていた。「ゴルフは悪くないけど雰囲気が悪い。1つのミスからガクンとなっているから、自分に期待が大きすぎるんじゃないか」。そこで今大会では、楽しむ、まではいかないが、一喜一憂せず「いい雰囲気」で戦うことを心掛けた。不運なことがあっても気持ちを切らさずにやった結果、国内ツアーでは今季の最上位となる3位タイに次ぐ6位タイに入った。もちろん、それ以外の要因もあるだろうが、調子がようやく結果へとつながった。

一方の菊地は、優勝争いで前向きになることができなかった。「最初にチャンスで外して、『こういうところだよな『って自分で思ってしまって…。その後すぐにボギーがきた。そこが大きかった。厳しかったです。その後は気持ちが下がらないようにするので精一杯でした」。1つの悪い状況を引きずり、逃げる古江を追いかけるメンタルを作れなかった。「今日のラウンドはスキばっかりでした」と反省を口にした。そして、こう続けた。

「古江さんしかり、笹生優花さんにしても楽しんでやっていました。私にはなかなかできない。本当に勉強になりました。正解はないですが、そういうのを取り入れてやれば私ももっとできるのかなと思います」

菊地がいうように、絶対こうあるべきというものではない。タイガー・ウッズ(米国)のようにひとまず10秒だけ怒る、というやりかたもあるだろうし、渋野日向子のようにボギーの怒りを力に変えてバウンスバックを決める選手もいる。スコアを出すためのメンタルコントロールの方法は人それぞれだ。

だが、悪いことが起きても前向きに考えることで、状況が好転するケースは少なくない。ミスしても切り替える。それが古江のボギーの少なさ、スキのなさにつながっている。菊地もラウンド中に笑顔を見せるということではなく、気持ちの切り替えや前向きな姿勢を取り入れたいということだろう。

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