極端にいえば、玄関のカギをカギを閉める土地と閉めない土地、ゴミ捨てに出るにも閉める土地。雨が降ってきたら、隣の洗濯物を取り込むのが当たり前という場所と、放っておく(取り込まれるなんて気持ち悪い、だったら濡れたほうがマシ)場所の違い。いずれにしても、自分の意識を他人に強要しない、ということを大切にすればいい。どちらがいい、という話ではない。
話をゴルフツアーに戻そう。
都市部と地方だけでなく、日本国内はそれほど異なる地域性を持っている。そのことは、コロナ禍でさらに浮き彫りにされた。ゴルフツアーは、ゴルフという“共通言語”を使ってそれぞれの土地を結び付け、相互理解を深めることができる可能性を持っている。毎年とはいわないが、せめて2年に1回、全国47都道府県すべてを回ることはできないものか。
今年、予定されていた女子ツアーの舞台は、レギュラー、ステップ・アップの両方でも28都道府県に偏っている。以前は毎年、試合が行われていた秋田県や徳島県、栃木県などでは、すでにツアーとのかかわりが薄くなってしまいつつある。
スポンサーの意向が主で会場が決まる現在の形には、すでに限界がある。地域密着型の試合を増やし、全国にファンを増やし、応援してくれる人を、企業を増やすためには根本的なツアーの在り方を考えなければならない。コロナ禍の今だからこそ、できることがあるはずだ。(文・小川淳子)