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“シブコ現象”を最大限に生かすには【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

“シブコ現象”を最大限に生かすには【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

配信日時:2019年9月3日 18時02分

ツアーは全国各地で行われているため、よほど気合の入ったファンでない限り、足を運ぶとすれば近くで開催される試合だろう。「ツアーはないからステップアップでもいいや」と、とにかくゴルフ場に行こうという人もいるのに、こちらはギャラリーが入れない大会もある体たらく。会場までの交通機関や駐車場の手配、トイレや売店などの準備と、ギャラリーを入れればそれなりに経費がかかる。それでも、下部ツアーとはいえプロの試合である以上、見てもらってナンボ。それを最優先に考えるべきではないのか。「試合を見てみたいけどどうしたらいいのかわからない」という声が多いのは、アナウンスが足りないから。せっかくのファン予備軍をシャットアウトしてしまっている。

テレビ中継は相変わらず渋野への偏りがひどい。そうしていれば視聴率が上がるという安易な考えなのかもしれないが、これまでの固定ファンが離れてしまう可能性も秘めている。「試合の結果がチョロっとしか出なくてつまらない」という声がたくさん出てきているのが聞こえないのだろうか。

テレビ以外の媒体はどうか。夕刊紙や雑誌ならまだしも、朝刊もとにかく渋野ばかりを追いかける。スター選手を扱いたい気持ちはわかるが、それが横一線では、すぐに飽きられる。自らの首を絞めることになっているのがわからないのだろうか。

プロたちはどうだろう。渋野自身は、急に注目の的となった自分に戸惑いつつも、よくやっていると思う。インスタグラムのフォロワーも着実に増えている。問題は周囲の“大人“たち。ここには、渋野のごく身近な人間だけでなく、ツアー関係者も含まれる。これまでとは全く違う事態の中で、渋野を守り、かつ自由にさせておくことができるのか。決して勘違いさせたり、引きこもったりしないようにするという大きなミッションを背負っている。

渋野以外のプロはどうか。いいプレーをすること、ファンを大切にすることが、プロアスリートの至上命題だ。いいプレーをすることについては、誰もが全力を注いでいる。しかし、ファンに対してはどうだろう。ゴルフをよく知るファンや、心から応援してくれるファンに対してだけでなく、それ以外の“ファン初心者”に対してきちんと対応できているか。新しいファンを開拓するためのアピールはできているか。メディアへの対応、自分からの発信なども、今ではプロの仕事の一つといえる。この当たりを改めて考えてみるのも一つの手だ。

情報が欲しいと思っているファンに「自分で探しにいかないと(情報が)ない」と、言われているようでは、まだまだアピールが足りない。そのことを誰もが、改めてもう一度、考えてみる必要がある。“シブコ現象”が起きている今のチャンスを生かせないようでは、先が思いやられる。(文・小川淳子)

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