決して裕福ではない幼少時代、常に横で支えてくれたのは父だった。いわゆるアベレージゴルファーの父がキャディを務めるのには、娘のそばで支える意味合いもある。娘は15歳でプロ転向。アジアを中心に戦ってきたが、小さなツアーでは優勝しても賞金は少なく、収支は厳しい状況だった。
そんな2人が乗り込んだのは異国の地・日本。右も左も分からない中、必死に戦ってきた2人。励まし合いながら、親子旅を続けた。「とにかく賞金ランキングで50位以内に入って、日本ツアーに残りたいんです」。親子の居場所を日本に求めたさなかでの優勝。涙、笑顔、驚き、いろんな感情が一気に爆発した。
「来週はとにかく遊びたい! 新宿にも行ってみたいし、富士山が見えるところにも泊まる予定。そして、東京ディズニーランド。もう夢みたいです…」と、心からバケーションを楽しみにしている。「久しぶりにゴルフから離れられる!」。ほほ笑みの国から来たスマイリーランクンは、涙や苦悩を乗り越え、最後には最高の笑顔で北海道をあとにした。(文・高桑均)
