最終18番は2位につける片岡に6打差をつけて迎えた。ティショットは3番ウッドでフェアウェイ右のバンカー。そこから難なく2パットを決めた。「最後のウイニングパットは差もあったから別に緊張もなかったんですけど、うれしいです。はい、これまでの人生で一番うれしいです」。普段は無口でシャイな今平。照れくさそうな小さな声で喜びを表現していた。
最終日、単独首位スタートは初めての経験だったが、2014年の「カシオワールドオープン」では首位タイで最終日を迎えた。そのときはバーディ合戦が繰り広げられる中、6番でダボを叩くなど22位タイに沈んだ。
「あのときは経験が少なくて、優勝争いの独特の雰囲気に18ホール持ちませんでしたけど、あれからいろいろ経験を積んで、緊張する中でも自分のプレーを発揮できるように成長できたと思います。勝負どころのパットに強くなったのも大きいと思います。これからもたくさん練習して、今季、また勝てるように頑張りたいです」。初優勝直後というのに舞い上がることなく、マイペースで淡々と語る口調は、いかにも今平らしい。
その一方で、少々興奮気味にホールアウトしてきたのが、国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」に続き、今大会でも今平のキャディを務めた若松菜々恵さん。現在、中部学院の4年生で、ゴルフ部に所属。普段は東建多度CC・名古屋でキャディのアルバイトをしている。“美しすぎるキャディ”として知られ、今大会でもギャラリーの人気を集めた。少々涙ぐみつつ鼻をすすりながら、
「スタートホールをダボにして、ヤバいと思ったんですけど、頑張るしかないと思って、そうしたら粘ってくれて、バーディを獲ってくれて。スコアボードを見ないようにしようねっていわれてて18番ホールのグリーンに上がるまで全然スコアが分からなったんですけど、そうしたら優勝できると思って、やったぁーって。初優勝のときにバッグを担がせてもらってうれしいです」。勝利の女神とのタッグ。今平に聞くと、「また機会があれば。まだ次の予定は決まっていません」とのことだ。