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13年前、ついに男子ゴルフ界に“救世主”が現れた!【現場記者の“こぼれ話”】

13年前、ついに男子ゴルフ界に“救世主”が現れた!【現場記者の“こぼれ話”】

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2020年5月20日 06時30分

涙の優勝インタビューでした
涙の優勝インタビューでした
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。なかなか試合の臨場感を伝えることができない状況が続いています。そんななか、少しでもツアーへの思いを馳せてもらおうと、ツアー取材担当記者が見た選手の意外な素顔や強さの秘訣、思い出の取材などを紹介。本来なら今週は関西オープンが開催される予定でしたが、次年度に延期となりました。関西オープンがこの週に組み込まれたのは2014年以降で、13年前の2007年には「マンシングウェアオープンKSBカップ」が行われていました。そう、高校一年生の石川遼くんが優勝したあの試合です。

16歳の超ワイドスタンスに「こんなに広かったんだ!」と本人もビックリ【写真】

当時私は、ゴルフ雑誌ALBAの編集者として、主に男子ツアーの練習日に取材をしていて、2007年の「マンシングウェアオープンKSBカップ」が行われた岡山県の東児が丘マリンヒルズゴルフクラブにも行っていました。そのときは(今もですが)トップジュニアに詳しくなかったので、本戦が始まって東京に帰ってきた時点では、石川遼の存在すら知らない状態。試合のほうは豪雨のため、決勝進出者の人数を絞って最終日に36ホールを消化する変則的な日程になっていました。“奇跡”前夜の土曜日の時点で、36ホールを終えた遼くんの順位は首位と7打差の23位タイ。

そして運命の13年前の5月20日の日曜日、私はプロコーチの井上透さんの取材で、横浜市内の練習場を訪れていました。会うなり井上さんは「リョウなら優勝するかもしれない」と、携帯電話を片手に大興奮。井上さんは昔からジュニア育成に関わっていたので、石川遼くんのこともよく知っていたのです。私のほうは『リョウって誰ですか?』と思いながら、でもマンシング帰りで知らないともはっきり言えず、「タッド・フジカワはなぜ飛ぶのか?」という企画の取材を進めていました。前半の18ホールを終えた時点で遼くんは首位と4打差の9位タイまで順位を上げていたのです。

井上さんの取材を終えて家に帰ると、日本男子ゴルフ界の歴史が変わっていました。夕方のニュースはどこも15歳の高校生の快挙を取り上げ、優勝スピーチが何度も放送されていたのです。翌週になると、スポーツ番組だけでなくワイドショーでも取り上げる大フィーバー。ドライバーを気持ちよく振り切る攻めのゴルフに加え、あのルックスにスピーチもしっかりしている。女子ツアーでは宮里藍、横峯さくら、諸見里しのぶ、上田桃子と次々と若くて強い選手が台頭して人気が上がっていましたが、ついに男子にも救世主が現れたのです。映画「マトリックス」でいえばキアヌ・リーブス演じる『ネオ』のような存在。男子ゴルフ界に「Rage Against the Machine」の『Wake Up』が流れてきていました。

石川遼以前の男子ツアーといえば、伊澤利光プロ、片山晋呉プロ、谷口徹プロなど、30代の選手が強かった時代。高校や大学を出たばかりの20歳前後の選手が優勝することは、ほぼありませんでした。それなのに15歳で優勝。アンビリーバブルです。2位以下の選手を見ても、宮本勝昌、近藤智弘宮里優作、小田孔明、高山忠洋と、今では5勝以上を挙げている実力者が揃っていました。

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