通勤や外出の際に、マイボトルの水筒を携帯して水分補給をする習慣が定着してきたが、それはゴルフのラウンドでも常識となっている。今回は時代と共に変化する、水分補給にまつわる話について、四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が語る。
令和8年、1日の最高気温が35度以上となる猛暑日だけでは足りないということで、新たに、40度以上になった日は酷暑日と呼ぶことになりました。いずれも危険な暑さへの警戒という意味で設定された気象予報用語です。
大いに盛り上がったサッカーのワールドカップでも、前後半の22分前後に約3分間ずつ水分補給の休憩が与えられる“ハイドレーションブレイク”が全試合で採用されました。日本だけではなく、世界中が熱中症対策を真剣に検討して、実施する時代になったのだという証明です。
令和になってから常識が更新されることがたくさんありますが、危険な暑さによる熱中症対策として、小中学校では水筒を持参して、授業中でも水分補給をすることが奨励されたのもその一つです。
昭和生まれで昭和育ちの世代にとって、水筒は遠足で使用するもので、常時持ち歩くなんて想像もできない世界です。しかし、夏場のゴルフコースは、気象庁の発表する気温より数度高いので(気象庁の温度計測は風通しの良い日陰だから)、猛暑日どころか酷暑日になることも珍しくありません。
熱中症対策としての水筒持参は、学校の教室だけではなく、ゴルフコースでもすでに常識になりつつあります。
クラブハウスの一角に、氷と冷やした水などが準備してあって持参した水筒にご自由に補充してください、というコースが増えたような気がしますが、キャディ付きの高級コースでは、水筒はキャディが用意しているので、お客は持参しない前提でセルフ用のサービスがない場合もあります。氷や水だけではなく、粉末の栄養補給ドリンクまで用意さているところもあれば、「水筒の補給をお断りしていますので、水筒の中身は自分でご用意してください」、というコースもあります。
レストランのスタッフは、お昼の忙しい時間に水筒を渡され、「急いで氷と水を入れて」と言われ、他にもやることがあるのでパニックになることもあるそうです。他にも朝、レストランのオープン前にフロントスタッフに水筒を渡して、「氷を入れろ」と要求され、後ろに並んでいる人もいて持ち場を離れられないので困ったという話もよく耳にします。この辺りが、水筒ハラスメントと呼ばれてしまう事象の始まりのようです。
水筒が遠足体験中心の昭和のおじさんは、何が正しいのか分からないのです。運動中に水を飲んだらぶっ飛ばされる学生時代を過ごしてきたのに、毎ホール一口ずつでも水分補給が正解とか言われても戸惑ってしまいます。
こだわりがある人ほど、自分で中身を用意した方が気持ちが良いはずですし、何でも良いという人も事前にコースに確認すれば、誤解でハラスメントになったり、空の水筒を抱えて呆然とすることは防止できます。電話1本、または、メール1通の手間で済むのですから楽勝です。
確認をして、水筒ハラスメントから従業員を守るために水筒のサービスがないコースから水筒のサービスが良いコースに予約を変更するのは、簡単で確実な方法であり、ドタキャンでなければゴルファーの権利です。
水筒持参が当たり前になった時代のゴルファーとして、得意なクラブと同じくらい水筒も上手に使うのがカッコイイのです。(文・篠原嗣典)
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」。