生成AIをツールとして活用できるAIエージェントの出現によって、レッスン業界がさらなる転換期に入る。無人店舗の一人練習が、格段に楽しくなりそうだ。
最新AI技術によるスイング解析やレッスンの提案などを行うAIGIA(エイジア)システムは、マーカーや特別なスーツなどを装着することなく、カメラの前に立つだけで骨格の動きを自動認識・数値化できる。富士通の骨格認識AI(FMMC)によって得られたデータと、AIGIAのスイング解析アプリケーションを連携させ、その人の課題点を明確化。解析結果に基づき、最適な改善策をその場で提案してくれるという。
AIGIAの開発担当でプロゴルファーの米倉和良取締役は「骨格の動き、クラブヘッドの動き、さらに弾道という結果。この3個がデータとして揃わないと、なかなかスイングとして判定できません。今回は骨格、またクラブの動きを計測できるポイントが、圧倒的に増えたので、スライスだったりフックだったり、『飛距離が出ない』などの悩みを、骨格のデータから原因をより分析できるようになりました」と説明する。
AIGIAはこれまで、8骨格(①前傾角度②センターポジション③体重移動④体の傾き⑤右腰の動き⑥左腰の動き⑦首元⑧両ひざの伸縮)をキャプチャーして7個のフェーズ(①アドレス②ハーフウェイバック③トップ④ハーフウェイダウン⑤インパクト⑥フォロー⑦フィニッシュ)に分けて数値化する技術を商品化している。
これに新たな機能が加わる。クラブヘッドの軌道をトレースして計測することができるようになり、「アドレスからフィッシュまで約70のポイントを、ヘッドの軌道も腕の振りもすべて計測できるように変わります」という。
実は問題点もあった。そのデータをいかに一般ゴルファーに分かりやすく説明するか。ここが「AIエージェント」の出番だという。
「数字がたくさん並ぶので、一般ユーザーには難しい。そこにAIを使わせてもらっているわけです」
来年の春先には5つのレッスンの柱を作り、その下に81個のドリルを用意。「まず富士通さんの技術で骨格、クラブの動きを計測します。これがAIの目となります。次にAIGIAの基準で判定し、そこから動画を用意して、ユーザーにレッスンします。ゆくゆくはその人に特化した練習計画を作成し、アドバイスしていくことを考えています」と明かした。
さらにこう続ける。「AIGIAはデータとAIの力でゴルファーの上達プロセスを根本から変えます。誰でも自分専用のコーチを持ち、迷わず上達できる未来を作りたい。それにはやっぱり、コストがかかります。その役割をAIが担う。AIが全ユーザーのパーソナルコーチになる将来を考えているんです」。
無人店舗での一人練習に、AIというパートナーが寄り添ってくれる日も近い。(取材・構成=日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗)
◇ ◇ ◇
知らないと恥ずかしい→関連記事で【マグロとタイの刺身で食べる順番に決まりがある⁉ 女子プロが新人セミナーで習った“恥をかかないマナー”とは?】を掲載中
