■テストステロン都市伝説 ウソ? ホント? 肉を食えば性欲爆上がり!?
ちまたで飛び交う、テストステロンにまつわるあれこれ。ホントのところはどうなのか? 医学的な正解を、平澤先生に教えてもらった!
1.ビール好きは減りやすい
【ホント】女性ホルモンが増えテストステロンが減る
ビールのホップには植物性エストロゲンが含まれており、これが女性ホルモンのエストロゲン(男性にも存在します)を活性化させ、テストステロンを下げる働きがあるといわれています。ただし、その影響はごくわずか。注意すべきは過度な飲酒です。飲み過ぎによって肝機能が低下すると、テストステロンの分泌は確実に減少します。目安としては、1日ビール中瓶1本(純アルコール20g)程度にとどめておきましょう。
2.筋トレすると増えてマラソンすると減る
【ある意味ホント】運動は薬、だけどやりすぎは毒
運動は筋トレのような無酸素運動も、ジョギングなどの有酸素運動も、テストステロン分泌に効果的です。ただしやり過ぎは注意。マラソンのように体力を大きく消耗すると、テストステロンが一時的に10〜30%減るという報告もあります。適切な栄養補給やリカバリーへの意識が大事。ラウンドのとき、カートに乗らず、積極的に歩くことも効果的です。
3.高級霜降り肉でテストステロンが育つ
【ウソ】脂質のとり過ぎでテストステロンが減っていく
霜降り肉に含まれるコレステロールはテストステロンの材料となり、一時的に分泌を高めます。ただし脂質も高いので食べ続けると内臓脂肪が増加。肥満になると、テストステロンがエストロゲンに変換されやすくなり、逆効果に。テストステロンを増やすのに有効なのは、亜鉛、ビタミンD、たんぱく質といった栄養素。食材でいえば、牡蠣や赤身肉、しいたけ、青魚などがおすすめです。
4.自慰行為をすると減る
【ウソ】「ガマンすると増える」は勘違い!
1週間、射精を控えると7日目に一時的にテストステロンが上昇するという報告もありますが、それはあくまで一過性の変化。体の機能は、使わなければ衰えるという性質を持っているため、定期的に射精することがむしろ大切です。50歳代で週に1〜3回程度の射精は、テストステロン分泌を健やかに保つ上でプラスに働くと考えられています。
5.テストステロンが増えるとハゲる
【ウソ】薄毛のカギはテストステロンではなくDHT
加齢とともに頭皮や前立腺では『5αリダクターゼ』という酵素が増えます。その量は遺伝にも左右され、多い場合はテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されやすくなります。DHTが増えると頭皮では脱毛、前立腺では肥大症を招くのです。つまり薄毛はテストステロン量そのものより、DHTへの変換の影響が大きい。ホルモン補充療法によって薄毛が進み、治療が必要になった方は、私が見てきた中ではごくわずか(約1%程度)です。
6.前立腺肥大だとテストステロンは減りやすい
【ウソ】前立腺肥大と性欲減退、重なるのは年齢のせい
前立腺肥大症だからといって、テストステロンが減少し性欲が落ちるわけではありません。なりやすい年代が同じというだけです。前立腺肥大は薄毛の仕組みと同じで、関わっているのはDHTへの変換です。薄毛治療では、この変換を促す『5αリダクターゼ』を抑える薬を用いますが、その作用によって前立腺肥大症の改善にもつながります。
7.テストステロン値が高いと正直者
【ホント】テストステロンは正直者ホルモン!
誰も見ていないところでサイコロを振り、出た目の数に応じて賞金がもらえる、というルールの実験を行いました。その結果、テストステロンを投与されたグループは、出目を正直に申告する人が多かったという報告が。テストステロンが高い人ほど、スコアをごまかしたり、林で卵を産んだりするせこいインチキはしないのです。
8.ゴルフをすると増える
【ホント】ゴルフで体も心もテストステロンがアップ!
ゴルフは筋肉を使う運動習慣として、テストステロンを高める効果があります。さらに、チャレンジ精神や集中力、ライバルとの競い合いによる闘争心も、ホルモン分泌を後押しします。大切なのはスコアだけを追うのではなく、自分のプレーの良い部分に目を向け、自己肯定感を育むこと。「チャレンジする→やればできる」という好循環で、テストステロンを高めていきましょう。
【解説】
平澤精一先生
ひらさわ・せいいち/マイシティクリニック総院長。日本メンズヘルス医学会所属。日本医科大学を卒業後、同付属病院勤務などを経て1992年マイシティクリニックを開業。男性更年期治療や高齢者の健康維持に積極的に取り組んでいる。『50歳をすぎて「最近、気力・体力が落ちた」と思ったら読む本』(フォレスト出版)など著書多数。