しかし、米大統領選出馬を表明してからのトランプは強硬な姿勢や発言が目立つ。今年6月にはメキシコからの不法移民に対して差別的な言葉を吐き、ゴルフ関連団体の多くがトランプと距離を置くようになった。PGAオブ・アメリカはグランドスラム・オブ・ゴルフの会場だったトランプ・ナショナル・ロサンゼルスの使用をすぐさま中止した。LPGAはコース変更の時間的余裕がないということで、やむを得ず今年の全英女子オープンをトランプ・ターンベリーで開催したが、他の団体は静観している状態だった。
だが、トランプが先ごろ口にした「イスラム教徒の入国禁止を」といった蔑視発言は、静観していたゴルフ団体に火を点け、米ツアーもR&Aもトランプ所有コースを大会開催コースから外す決断に至ったようだ。
トランプに絡むこうした一連の出来事は、ゴルフ界にとって、どんな意味を持つのか。浮かんでくるのは「残念」の二文字だ。
ターンベリーもドラルも他のトランプ所有コースも、長きに渡り、大勢のゴルファーに親しまれてきた名コースだ。コース側の人々はビッグな大会の舞台になることを誇りに思い、メンテナンスや準備に力を注いできた。地元の人々も開催地としてのプライドを抱いてきたはず。そして何より、コースに対する思い出や思い入れのある選手たちが一番残念に思っていることだろう。
トランプはゴルフが大好きで、だからこそゴルフ界に進出し、メジャー開催を夢見てきたのだと言われている。だが、ゴルフを愛していると言いながら、ゴルフを愛する大勢の人々をがっかりさせている。その責任の大きさ、重さを、トランプはわかっているのだろうか。