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【舩越園子コラム】タイガー・ウッズの長い旅

【舩越園子コラム】タイガー・ウッズの長い旅

配信日時:2014年12月8日 13時07分

 「マイケル・ジョーダンは、かつてのように他の選手より高くジャンプすることはできなくなったけど、彼はそれまでとは違う方法でポイントを取る方法を見い出した。僕も同じだよ。その昔、僕は290ヤードをキャリーで飛ばして、それがゴルフ界のビッグドライブだった。でも、今どきは、飛ぶと言えば、キャリーで320ヤード、325ヤードのことを指す。バッバ・ワトソンらは325ヤードをキャリーで飛ばし、フェアウェイバンカーを越えていく。でも、今の僕には、もうそういうことができない」。

 ここでウッズの話が終わってしまったら、これは老い始めた選手の単なる愚痴になってしまう。だが、この先にポジティブな話が続くからこそ、王者ウッズなのだ。

 「でも、長年やっていれば、逆にいいこともあるんだ。だからこそ、サム・スニードやトム・ワトソングレッグ・ノーマンたちは年齢を重ねても優勝したり、優勝争いに絡んだりできたんだ。どうしても年は取るけど、ずっと他の選手たちを肉体面で凌駕し続ける必要はないからね」。

 ウッズが言った長年やっていればこその「いいこと」は、いわゆる経験を指しているのかと最初は思った。勝利、敗北、故障、復帰、スイング改造。長いキャリアの中で、いろんな経験を重ねてきたからこそ得た経験値を彼は「いいこと」と言ったのだと思った。

 もちろん、それも含まれていたのだろう。が、このときウッズが言った「いいこと」は、そうした経験を積み重ねる以前のジュニア時代、アマチュア時代に遡るものだった。

 理屈や理論を抜きにしてクラブを振っていた幼少時代。「あのころはスイングで体を故障するなんてことは無かった。両手から体へ、スイングへと伝わっていた感覚こそが究極なんだ。その感覚を呼び戻したい」。

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