とはいえ、崩れた選手の誰も彼もが「全英、全英」と呟きながら崩れたわけでは、もちろんない。元々、難コースのコングレッショナルは、最終日は一層難しくなっていた。イーブンパーで回れば順位が上がり、下位争いなら2オーバー、3オーバーで回っても順位が上昇したほどだった。
その中でアンダーパーで回るのは容易ではない。スコアを落としても心を乱さず、集中力を維持し、小さなミスを大きなケガへ広げないことこそが、カギになる。
このフレーズ、誰の受け売りかと言えば、2週前、全米オープンを圧勝したマーチン・カイマーが言っていた言葉。アンダーパーがたった6人しかいなかったコングレッショナルの最終日は、まさに全米オープンの再現みたいなものだった。
最終日を5位からスタートしたジャスティン・ローズが1アンダーで回って首位に立ち、ショーン・ステファニーとのプレーオフを制して優勝したことは、昨年の全米オープン覇者が全米オープンで身に付けた戦い方を、まるで全米オープンの舞台のように難しい状態だったこのコングレッショナルに汎用し、それが最強であったことの証。その象徴だったのは、池につかまりながらも5メートルのパットを捻じ込み、ボギーに抑えた72ホール目の戦い方だった。
「僕のゴルフは、このタイプのコース、このタイプの戦いに向いているんだと思う。僕は厳しいテストに挑むのが好きなんだと思う」