世界一になっても、通算11勝を挙げても、「また学んだ」と語る謙虚なスコットは、しばらくの間、王座に君臨し続けそうな気がする。プレーオフで敗北したダフナーも「今のアダムを負かすのは、あまりにも難しい」と舌を巻いていた。
松山は10位に終わってしまったけれど、彼にも学んだことはたくさんあった。「1発のミスをすぐに取り戻せる力は今はない。もっと練習しなければ。もっと精神的に強くならなければ……」
その謙虚さと向上心があれば、これからはもっと上手に椅子取りゲームで戦える。米ツアーという大きなピラミッドの中で自分の立ち位置がしっかり見えてくれば、自分が座るべき椅子も見え、椅子の奪い方もわかってくる。松山の初優勝は、その先にある。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)