このホンダ・クラシックだけを振り返っても彼の激しい浮沈が見て取れる。12年大会の優勝は彼を世界一の座に押し上げた。が、その1年後の13年大会では、不調の中、歯痛を理由に途中棄権し、仮病ではないかと不評を買った。そして、その1年後の今年は完全優勝達成と目されながらプレーオフに持ち込まれ、逆転負けを喫した。
そのすべての浮き沈みが、マキロイという一人の選手のほんの3、4年間という短期間の中で起こってきたのだから、やっぱり熾烈な米ツアーにおいては、いいことも悪いこともどんなことも、突然起こりうるわけで、何に対しても「明日は我が身」と思ったほうがいい。
米ツアー選手たちは、成績が上がるか下がるか、勝つか負けるかの境界線は「ファインラインだ」と言う。直訳すれば「極細の線」。わかりやすい日本語に置きかえると「紙一重」。つまり、ほんのちょっとしたことで、調子や順位や成績は良くもなるし、悪くもなる。
今大会で松山英樹は棄権し、石川遼は予選落ちとなったが、そんな彼らの明日や来週が、ほんのちょっとしたことで突然光り輝く可能性はあるわけで、そう考えれば、この大会における「棄権」や「予選落ち」を必要以上に取り沙汰するのはナンセンスだ。
だが、だからと言って、いいこと悪いこと何かが起こることを、ただ待っているのもナンセンスだ。マキロイは11年マスターズの最終日に大崩れした後、同じ轍を踏まないためにはどうしたらいいかと考えたそうだ。