だからこそ、米国期待の若手で過去チャンプで完全優勝がかかっていたブラッドリーを負かした“憎き外国人”とはいえ、ウイニングパットを沈めて万歳ポーズを取ったべに人々も米メディアも心から温かい拍手を送ったのだと思う。
韓国の血を引く選手の米ツアー優勝はK・J・チョイ(崔京周)、Y・E・ヤン、ケビン・ナ、ジョン・ハーに次ぐ史上5人目。韓国籍では3人目。べは日頃からチョイを兄のように慕っており、近いうちにロサンゼルスのアパートを引き払って、チョイが住むこのテキサス州ダラスに引っ越す予定だった。
そのダラスで初優勝を挙げたため、優勝会見では「ダラスは、いいところだなあ」と言って米メディアを笑わせていたが、その反面、初優勝を挙げたこの日がチョイの誕生日であることはまったく知らず、「えっ?そうなの?」と驚き、「ハッピー・バースデー、KJ」と会見の壇上で慌てて小声で囁いて、再び周囲を笑いに包んだ。
慕い慕われの関係はあれど、気持ちの上では同等か、それ以上。必要以上の上下関係やベタベタした気の遣い合いはせず、ある意味、ドライで、一人一人が自分をしっかり確立しながら切磋琢磨している。それが米ツアーにおける韓国人選手たちの成功の秘訣のように思えた。
不調だった昨秋はずいぶん気落ちしていたべだが、あれから半年が経過した今、米ツアー2年目で初優勝。「僕も、もうちょっとだと思う」と語った石川遼は、米ツアーメンバーとなってもうすぐ半年を迎える今週、初のトップ10入りを果たした。