今大会には元々は出場資格がなく、アーンストは二軍ツアーに出るつもりでレンタカーのハンドルを握り、ジョージア州の大会会場へ向かっていた。だが、まずチャンスはないと見られていた補欠の4位からの繰り上がり出場が決まり、急遽、方向転換してノース・カロライナ州のクエイルホローに辿り着いた。
2017年の全米プロ開催を控えるクエイルホローはコース設定の難度をさらに上げ、そこに悪天候が加わって選手たちを苦しめた。だが、アーンストにとっては、カレッジゴルフの戦いやQスクールの戦いを思えば、出られただけで超ラッキーのむしろ楽しい戦いだったのかもしれない。
120万6000ドルのビッグな優勝賞金を手に入れた感想を問われたアーンストの言葉が印象的だった。
「マネーは、単なるマネーにすぎない。入ってもくるし、出てもいく。だけど優勝は違う。手に入れた勝利は出ていかず、永遠だ。この優勝で得られた向こう2年間の米ツアー出場権。ここで2年間、プレーができるという事実。それこそが僕が手に入れたかったものだ」
2日目、3日目に首位に立ち、キャリア42勝目は目前と思われていたフィル・ミケルソンは最終日の終盤16、17番で連続ボギーを叩き、1打差でプレーオフ進出を逃した。ミケルソンが10回以上の出場経験を有する米ツアー大会の中で、いまだに未勝利なのは2試合だけ。今大会はその1つだ。豊富な優勝経験を有し、生涯シードも確定しているミケルソンにとって、この日、ここで目指した優勝は、死活を賭けた勝利ではなく、いわば征服欲に近いものだった。