「ここ」とは、今大会の舞台、ザ・カントリークラブ・オブ・ジャクソンのこと。ミシシッピ州で唯一の米国男子ツアーの会場となっているこのコースのグリーンは、お世辞抜きで「オーガスタ・ナショナルに負けないほどの固く速く素晴らしい」という呼び声が高い。
だからこそ、「マスターズのグリーン上の戦いの疑似体験をしたい」と言って、この大会にやってくる選手たちもいる。新シーズン開幕早々の大会ゆえ、新人選手の姿も多く見られるが、その誰もがこのコースのグリーンに驚かされ、「米国男子ツアーの怖さをいきなり思い知らされた」と声を震わせる。
出場選手の顔ぶれや世界ランキング、勝利数などから眺めれば、開幕シリーズの今大会は華やかな「ゴルフの祭典」マスターズとは正反対の位置付けにある。
しかし、この6年間、毎週毎週、黙々と次なる勝利を追い求め、「超」が付くほど難しい今大会のグリーン上で次々にアップ&ダウンでパーを拾い続け、最後は決め手のバーディパットをカップに沈めたヒューズの戦いぶりは、まさにマスターズの勝ち方を思わせるものだった。
そんなヒューズが今度はオーガスタ・ナショナルのグリーン上で奮起する姿を見るのが今から楽しみだ。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)