そして、2位のザラトリスに1打リードで迎えた18番。フィッツパトリックの3番ウッドのティショットは左サイドのフェアウエイバンカーにつかまり、大ピンチ。だが、そこから9番アイアンでピン6メートルを捉えた第2打は、まさに奇跡の一打だった。
バーディパットを沈めることはできなかったが、「僕がパーで上がれば、バーディが必要となるザラトリスにプレッシャーをかけられる」。
その通り、フィッツパトリックが先にパーパットを沈めると、ザラトリスのバーディトライはカップすれすれを通過。その瞬間、フィッツパトリックの米ツアー初優勝とメジャー初優勝が決まった。
これまで米国男子ツアーで105試合に出場し、トップ10に22回も入りながら1度も優勝できなかったフィッツパトリックは、いつも焦り、勝ち急ぎ、自身のミスに怒り、終始カリカリしている様子だった。
1か月前の全米プロは、その典型だった。最終日を2位で迎えたものの、出だしからボギーを喫し、6番の池ポチャから崩れ落ち、5位タイに甘んじた。