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“完璧”な勝利を演出 松山英樹の凱旋帰国に沸いた習志野の1週間【2020-21年・担当記者が見たベストバウト】

“完璧”な勝利を演出 松山英樹の凱旋帰国に沸いた習志野の1週間【2020-21年・担当記者が見たベストバウト】

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2021年12月22日 07時36分

そんな松山の後押しをしたのは、間違いなくファンの存在だった。2年前にタイガー・ウッズ(米国)が来日したときのような大熱狂はなかったものの、コロナ禍のため1日上限5000人に設定された一般ギャラリーは、松山の組に集中した。スタートホールではホールの周りをファンが取り囲み、惜しみない声援と拍手が送られる。「たくさんのギャラリーが来てくれたので、いいプレーをしないといけないとプレッシャーを感じた。それがいい方向にいった」とバーディ発進。その後もスコアを伸ばし首位と1打差の好発進を決めた。

「恥ずかしいプレーばかりするんだろうなと思っていた」という“1以下”の状態を危惧していたが、松山はそんな心配を振り払い、見事にファンの期待に応えるプレーを見せた。いつも以上に『負けられない』、そんなプレッシャーが松山にはあったのだと思う。だからこそ、この初日に久しぶりの好プレーを出すことに成功したときは笑顔が浮かんだ。

“持っている”選手はこの世界には何人もいる。“何かをしてくれる選手”というのはゴルフに限らずいるが、松山は果たして“持っている”選手なのか。そうではないと思う。松山は、自ら道を切り開いて、強引にでも扉をこじ開けてきた選手。持っているのではなく、自分の道を自らの力でつくってきた選手。ZOZOのこの初日を終えた段階で、そんな風に思ったのを記憶している。

2日目は気温が一気に低下し、強い雨がコースを襲った。それでも松山は2つスコアを伸ばし単独首位に立った。「雨も降っていたし、これだけ気温が低い。もっとギャラリーが少ないと思いましたけど、たくさん来てくれたので、そのぶん集中力を切らすことなくできたと思います」。余計にファンの応援が身にしみた。そして、誰もが期待する母国優勝へ、残り2日。週末へと向かった。

単独首位の松山は、3日目も集まった大ギャラリーを沸かせた。難ホールでティショットを曲げるなど、調子はよさそうには見えないが、林からのスーパーショットを披露すれば、寄せワンでしのぐなど、ピンチを切り抜けチャンスをものにし首位を快走。最終ホールでもティショットを曲げて隣のホールを使うなどボギー。本調子ではないなかでも、しっかりと耐えながら、首位を守った。

「明日いいプレーができればチャンスがあると思うので頑張りたいと思います。ベストを尽くして頑張りたい」。松山があまり多くを語らないことは周知の事実。ところが、このときの松山には、とにかく勝ちたいといういつも以上の強い意志が感じられた。

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