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松山英樹を支える、真ん中に靴底がないゴルフシューズ テニスのジョコビッチとの共通点も

松山英樹を支える、真ん中に靴底がないゴルフシューズ テニスのジョコビッチとの共通点も

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2021年8月11日 12時33分

「松山選手はスイング動作において、足がズレないことをかなり意識している。特に中足部のフィット感に重点を置いていると思います」と前川さんは話す。このシューズの外側、アッパー部分を見てみると、1枚多く補強することで、スイング時に起こる外側へのブレを防ぐ構造となっている。靴底(アウトソール)全体はラバーでできているが、真ん中の部分にはX形状の硬い樹脂のパーツが採用されていて、回転動作でシューズがネジれたときに、中で足がズレないように剛性をアップ。アッパーとアウトソールの2カ所で中足部をガチッとサポートしている。

「このX形状の樹脂は、バスケットボールやテニスなど切り返す動きが多いスポーツではよく使われています」と岩田さんは補足する。アシックスのゴルフシューズに採用されたのは松山のモデルが初めてだ。

■BOAではなくシューレースを使い続ける理由は?

一般ゴルファーの間で主流となっているカチカチとダイヤルで締め上げるBOAフィットシステムではなく、松山がシューレースを選んでいるのも、中足部のフィット感に強くこだわっているから。それが足元への安心感が世界No.1とも称される力強く正確なアイアンショットを生んでいるのだ。

平らなライだけでなく不安定な傾斜やバンカーでのショットもあるゴルフ。ソールの真ん中がポッカリと空いた構造でバランスが悪くなったりしないのだろうか? 前川さんはいう。「実はアウトソールの底面積をけっこう広げているんです。これであらゆるライのどんなスイング動作でもしっかり安定します」。アウトソールを見てみると、実際の足幅よりも地面に着くシューズの幅のほうがかなり広く作られている。

岩田さんは「このワイドゲージが今回のアウトソールの特徴で、『底面積を広げてほしい』と要望を出してきたのは、松山選手のほかにはテニスのジョコビッチ選手がいます」と教えてくれた。ノバク・ジョコビッチは東京五輪ではセルビア代表として来日。メダル獲得はならなかったが、現在テニスの世界ランキングは1位に君臨している。止まっている球を打つか、動いている球を打つかの違いはあるものの、ゴルフもテニスも道具を使ってスイングする競技。松山とジョコビッチは偶然にもシューズに対して同じ要望を出していた。

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