だが、ラームはこのときも心を乱すことなく、自身にこう言い聞かせたそうだ。
「何だって起こりうる。最後まで何が起こるかわからない。チャンスはある」
デビュー早々の2017年「ファーマーズ・インシュランス・オープン」では72ホール目にミラクル・イーグルを決めて初優勝を挙げた。今年の「メモリアル・トーナメント」では通算4勝目を決めた直後の優勝インタビューで「16番で動いたボールを打ったので2罰打ですね。優勝は優勝ですけど」とインタビュアーから指摘されるハプニングもあった。せっかく掴み取った世界一の王座も、すぐ翌週に奪還され、短命の王者に終わった。
自分自身も人々も「えっ?」「何それ?」と驚くような「ウソのようなホントの話」に、どれだけ遭遇し、どれだけ驚き、どうやってその驚きをコントロールし、どれだけ乗り越えてきたか。そういう仰天の経験こそが選手たちの本当の糧になる。
「諦めなければ、必ずチャンスはあると信じて、目の前の一打に集中した」