16番でボギーを喫し、トーマスと2打差に後退したケプカは、続く17番で20m超の長いバーディパットをカップに流し込み、トーマスを再び捉える絶好のチャンスを自ら生み出した。それなのに18番のティショットを池に入れて自滅した。
ケプカは今大会からパット専門コーチのフィル・ケニョンに指導を仰ぎ、その効果は各所に出ていた。だが、大詰めでモノを言ったのは、メンタル面の揺れが生み出したショットのミスだった。それはなんとも皮肉だったが、何かが良くなれば何かが悪くなり、決して完璧にならない。それがゴルフだ。
トーマスも終盤はショットが乱れ気味だった。15番でもティショットは大きく左へ曲がったが、予想外のナイスキックでグリーン手前の好位置へ。「あのラッキーキックから僕は冷静になれた気がする」。
15番、16番で連続バーディを奪い、17番、18番は冷静で安全なプレーでパーセーブ。15番で得た偶然のたまものをビッグチャンスと捉え、そのチャンスを生かすことができたからこそ、トーマスは勝利することができたのだ。
今季は10月の「ザ・CJカップ@ナインブリッジ」と1月の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」を制して、すでに2勝を挙げていたが、コロナ禍でのツアー再開後は「なかなか勝てず、苦しかった」。「ワークデイ・チャリティ・オープン」では新鋭コリン・モリカワ(米国)にプレーオフで見事に打ち破られ、その上、ジャック・ニクラスから早とちりの祝福メールを送られ、翌週は相棒キャディが体調不良でバッグを担げなくなり、コーチで父親のマイクが臨時キャディを務めるなど「災難」続きだった。
