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タイガーの力感が抜けて見えるのは右肩を早く起こしているからだった【超一流のスイング術】

タイガーの力感が抜けて見えるのは右肩を早く起こしているからだった【超一流のスイング術】

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2020年5月25日 07時00分

2002年のフォロースルー(右)と比べてみると、今は右肩の起き上がりが早い
2002年のフォロースルー(右)と比べてみると、今は右肩の起き上がりが早い (撮影:岩本芳弘)
タイガー・ウッズ(米国)は24年のプロ生活で、歴代2位のメジャー通算15勝、歴代1位タイの米ツアー通算82勝を挙げている。米ツアーの生涯獲得賞金は歴史上ただ1人1億ドルを突破(1億2066万0780ドル)。2019年には、11年ぶりのメジャー勝利となるマスターズを制し、再び存在感を増してきている。そのキャリアは左ヒザや腰の故障との戦いで、一時は「タイガーはもう終わった」という声さえ聞こえてきていた。そこから体の負担を減らすスイングに改造して、第一線にカムバック。そんなタイガーのスイングを、最先端の理論に詳しいプロコーチの井上透氏が解説する。

今のタイガーと18年前のタイガーのスイングを比べてみた【連続写真】

若い頃に比べると猛々しさが削られて、効率的に力を出そうとしているのが伝わってくるスイングです。今は急激な力のかけ方をしていません。足の踏み込み動作だったり、切り返しで手首に力はかかっていますが、それがとても穏やか。思いっ切り打ってタイミングが合わないリスクを取るよりは、足とクラブにタイミングよく力をかけることを優先しています。それがあまり力を入れていないように見える大きな理由です。

注目すべきはフォロースルー。若い頃はもっとタテ方向に肩を回していたのが、今はヨコに回転しています。

強振すると自動的にクラブの遠心力がかかって肩はタテにまわってしまうもの。でも、ある程度の年齢を過ぎて、タテ方向の回転動作をやり過ぎると、体の体勢に無理が出て怪我のリスクが高くなるのです。今のほうが右肩の起き上がりを早くしている理由は、左ヒザや体全体への負担を減らすためでしょうね。だから昔のような猛々しさはや若々しさは感じられない。そういう意味でタイガーも“おじさん化”してきました。

かといって飛ばなくなったわけではありません。昔も今も切り返したときの手首の角度は非常に深く、必要なところに必要なだけの力はかけています。クラブやボールの進化、バイオメカニクス(スポーツ力学)の進歩は目覚ましく、今の最先端機器があれば地面からの力の大きさも測定できる。思いっ切り強振しなくても、インパクトで力をかけるタイミングが合えば、44歳のおじさんでも飛距離は伸ばせるのです。コンディション次第で、まだメジャーに勝つ可能性はあると思います。

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