ショットやパットの合間でハットンが絶え間なく見せた奇行とも言える数々の忙しい言動は、過去の失敗と同じ轍を踏まないために彼が考え出した彼なりのメンタルコントロール術だったのだ。
中指を立てるようなマナー違反がNGであることは言うまでもない。だが、喜怒哀楽に流されやすい自分をできる限り律するために、鼻歌や口笛まで実践していた彼の涙ぐましい努力と前向きさに人々は好感を抱いたのだと思う。米メディアも好意的な記事でハットン勝利を報じている。
「ゴルフ界の歴史的名所で耐え抜き、優勝できたことが、うれしくてたまらない。この優勝で僕は何年シードがもらえるんだっけ?」
向こう3年間のシード権と聞かされ、「とてもありがたい」とうなづいたとき、故障に泣かされてきたハットンが、笑顔の下でひっそりと噛み締めてきた辛い胸の内を垣間見た気がした。
文・舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
