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「積み重ね」で世界一に輝いたB・ケプカの歩み【舩越園子コラム】

「積み重ね」で世界一に輝いたB・ケプカの歩み【舩越園子コラム】

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2018年10月22日 12時43分

なるほど。ケプカの歩みを振り返れば、彼が言った「積み重ね」という言葉に頷かされる。いいことであれ悪いことであれ、目の前の状況を焚き木にして自分の暖炉にくべ、自身を燃え上がらせる。彼はいつもそうやって前進してきた。

数週間前の「ライダーカップ」では、ケプカが打った球がギャラリー女性の顔面を直撃し、女性が右目を失明するという不幸な事故が起こった。ケプカ自身、大きなショックを受けたばかりだが、そういうときでさえ、「自分にできることは、いいプレーを披露して人々に喜んでもらうことだ」と、それまで以上に強い気持ちで前を向き、アジアの地へ足を運んだ。

6年前の2012年。アマチュア資格で全米オープンに出場したケプカは惨憺(さんたん)たる成績で予選落ちし、その悔しさをバネにして、直後にプロ転向を決意した。戦う場を求め、すぐさま欧州に渡ってチャレンジツアーに挑戦。1試合目でいきなり優勝を飾り、「やれた」という自信が彼を成長させたそうだ。

14年に欧州ツアーの「トルコ航空オープン」で初優勝。15年は「ウェイスト・マネージメント・フェニックス・オープン」で松山英樹との激闘を制し、米ツアーでも初優勝を飾ったが、以後は「僕はもっと勝てるはずなのに、なぜたった1勝なんだ?」と思うようになり、もっと勝つために、ひたすら練習と努力を積んだ。

技術力は飛躍的に向上したが、何度も惜敗を繰り返した。そんなとき親友ダスティン・ジョンソン(米国)から「勝とうとするな。ひたすら耐えろ」とアドバイスされ、友の言葉を唱えながら勝利したのが17年の全米オープンだった。

今年は1月に左手首を痛め、以後、4カ月以上も戦線離脱。「マスターズ」にも出られなかった。いろいろな治療を受けたが顕著な回復は得られず、引退の二文字が頭をよぎったことさえあった。だが、そんなときでさえ、ケプカは自力でアクションを起こした。

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