来季のテーマは「背骨」。5年ぶりのツアー3勝目を挙げるなど、永峰咲希は30歳にして自己最高のシーズンを過ごした。目指すのは今季果たせなかったシーズン複数回優勝。同い年の活躍を刺激にさらなる飛躍を誓っている。
2025年の永峰は7月の「JAL・資生堂レディス」でプレーオフを制して優勝。シーズンを通して8度のトップ10入りを果たし、メルセデスランキング15位、賞金ランキング11位といずれも上位に名を連ねた。獲得賞金は約7398万円。これは統合シーズンだった2020-21年シーズンおよそ100万円上回り、自己最高額だった。
「これまでの2勝はラッキーだったり、勝っちゃったみたいな感じだったんですけど、3勝目はちゃんと緊張して、優勝を意識した中でいいショットが打てて、手応えのある優勝でした」。昨季から球筋をドローからフェードに変えたことに加えて、状況に応じてアドレスやボールの位置を変えることで「ボールを止める技術が上がったと思っています」と成長を実感している。
若手の躍進が目立つなか、今季は同じ1995年度生まれの堀琴音、柏原明日架、木村彩子がそれぞれ1勝。「みんなが定期的に勝つんで、お祝いで忙しい1年でしたね(笑)。同級生の優勝はうれしいですけど、刺激にもなります。みんなの努力を知っている分、私も頑張らなきゃって気持ちになりますね」。まだまだ、この世代でツアーを引っ張っていくつもりだ。
年明けから本格的にトレーニングなど、体作りをスタートさせる。「私は背骨が硬いんですよ。エッグロールっていう玉子みたいに転がるエクササイズがあって、これをフローリングでやると同時にいくつかの背骨が地面について、1個ずつ動かせていないのが分かるんです。変な目標ですけど、オフの目標は背骨を1個ずつ動かすことです」。背骨の動きが悪くなるとアドレスの姿勢が崩れる。これが不調の入り口になるのだという。
2月は5年前から指導を受ける目澤秀憲コーチと宮崎合宿を行った。ただし、今年はその予定が定まっていない。「ナッツ(櫻井心那)も、金子(駆大)君もアメリカのQTを受けているので、来季のスケジュールがどうなるか分からないんですよ。今年、岩井姉妹がダイキンに出ていたので、ナッツもそうなのかなと思ったり…」。同じ目澤門下の後輩たち次第という状況だが、地元・宮崎での合宿とあって「私はみんなが来るのを待ってるだけなので(笑)」と不安はない。
目標の複数優勝の中に地元開催の「アクサレディス」や「JLPGAツアー選手権リコーカップ」が含まれていれば最高のシナリオ。「地元で勝つのが大変なのは分かっているけど、狙って勝てたら、これからのゴルフ人生に向けて大きな自信になると思います」。来季でプロ13年目を迎える永峰だが、まだまだ先を見据えている。(文・田中宏治)
