#3.教えてジョーンズコーチ!
(何を話してるかは聞こえないけど)真剣な顔でずっと英語でしゃべってる…
きっとものすごいスパルタ教育をしているに違いない…!
JGAに頼んで頼んで頼み込んで、お忙しい中なんとか30分、インタビューの時間を取り付けた記者A。
「なんでこんなに強いんですか!?」
単刀直入に聞いてみたら、3つの極意を教えてくれました。
●極意その1 「会場に入ったら準備に徹するべし!」
コースに入ったら、スイングどうこうではなく、18ホールをどうプレーするかのロードマップを作ること。
ジョーンズコーチ
「練習ラウンドの1日目は、どんどん情報を集めるよう意識付をしてきました。そして、それが目に見えるようにヤーデージブックに書いてある。それが選手たちの自信の根拠となっていると思うよ」
書き込んであるのは、
・×印で絶対にいっちゃ行けない場所
・グリーンの傾斜
・ターゲットを見つけて、打ち込んでも大丈夫なフェアウェイの幅
などを、それぞれ工夫しながらメモに落とし込んでいきます。
メモができるまで…
秘密を探るべく、練習ラウンドを後ろから観察させてもらうことに…
「ラフがどんな感じなのか?」
「バンカーの砂の質は?」
「芝目が逆になっていて落としては行けない場所は?」
などなど…
どこに落としたらパーがとれるかを、選手と一緒に見て行きます。
そして、とくに入念にチェックしていたのが、グリーン。
これを使って、何パーセントの傾斜があるかを細かくチェック。
みんなでグリーンの手前・真ん中・奥などと、手分けをして測ったあと、共有してしっかりメモに書き残します。
なんのために機械を使って測っているのかと言うと…
ジョーンズコーチ
「エイムポイント・エクスプレスといって、視覚ではなく、足の裏で傾斜を感じるためだよ」
「エイムポイント・エクスプレス」とは、錯覚を起こしやすい視覚にたよらず、足の裏の感覚を使ってグリーンの傾斜を読む方法。
たまに傾斜が強いところだと4%以上もあるそうですが、大体は0〜3%が多いそうです。
コース上の傾斜を測ったら、あとは体の感覚を合わせる作業です。
0〜4%までの数字が書かれたカードを使いながら、それぞれ、その場所がどのくらいの傾斜かを、足裏の感覚でつかみます。
試合スタート前の朝、練習グリーンでも同じ傾斜の場所を探して、
「2%はこのくらいかな?」「3%はこのくらいの傾斜か」
と、グリーンを踏みしめてフィーリングを合わせるのだそう。
そうすれば、試合本番ではコースメモと照らし合わせて、ボールが落ちた場所の傾斜を素早く測ることができるそうです。
「えええ…違いがわからない」「こことここ、傾斜違うの?」
みたいな状態からスタートしたそうです。
そしてそして、やっぱり気になるのがこのポーズ…
例えば、カップ手前の傾斜が「2%」なら、指を2本立てる。
選手によって、その指をカップのフチや中央に合わせて、ボールがどのくらい切れるかの指標にしているそうです。
うーん、難しそう…!
とてもじゃないですが、私には一生かかっても感覚がつかめそうにない…
ちなみに、一時期アダム・スコットがやって「カッコイイ!!」と話題になりましたね!(余談)
「練習ラウンドで情報収集して、計画をたてて。このルーチーンを繰り返す中でより新しいことを発見できるようになったり、選手たちはどんどん成長しているよ」
なるほど。
練習日に作り上げたロードマップが、ひとつ、成功のカギだったんですね。
●極意その2「65%:35%だ!」
ジョーンズコーチ
「ショートゲームとロングゲームの比率だね。
ゴルフのゲームは、1ラウンドあたり60%はショートゲーム。それを理解した上でプレーしてほしいと伝えている。だから、選手たちには練習では65%をショートゲームに使うようテーマを与えているんだ」
なるほど。
65%:35%は、ショートゲーム:ロングゲームの比率なんですね。
ショートゲーム、ロングゲーム、体のケアを何分ずつやって…
と、時間を区切って指示を出していました。
スイングや試合のことでなにか聞きたいことがあったら、『CoachNow』というスマートフォンのアプリでやりとりしているそう。
とっても現代的ですね!
現在のナショナルチームメンバーだけでなく、歴代のメンバーともやりとりしているそうです。
●極意その3「やっぱり英語は大事だよ!」
選手たち、ずっと英語でコーチと話しているんですね。
ジョーンズコーチ
「プロになる前に、英語力を成長させたいと思っています。英語を話せれば、海外ツアーでももっと色々経験ができるし、友達も増える。プロになれば、ビジネスやエンターテインメント性も必要になってくるから、そうなると英語は大事。英語は、日本のゴルフ界にとって大きな宝になると思います」
実際、通訳なども務めるJGAの方がそばにいても、ずーーーっと英語。とにかく英語。
集合時間を伝えるのにも、アドバイスをするときも、日常会話から英語。
金谷選手が「アジアアマ」で優勝したときも、「英語でチャレンジしてみることが大事!」と、
海外メディアを相手に、その場で英語のスピーチに挑戦していました。
英語のインタビューに挑戦した金谷選手。照れながらも一生懸命話す姿がステキ!
ゴルフだけじゃなくて、こういう所でも挑戦していくことが大事なんですね。
ジョーンズコーチ
「最初は全員が英語を話せたわけではなかったけど、僕の日本語のほうがヒドイからね(笑)。
ユウカ・ヤスダ(安田祐香)なんか、いつもボクのことを笑ってるよ」
「脳にとっても、言語学習はいいこと。そしてなにより、語学を学ぶことは楽しいしね」
練習の合間にも、とっても楽しそうな選手たち。
ジョーンズコーチと、英語のモノマネ動画を見たりふざけたりしながらコミュニケーションをとっていました。
技術やトレーニングの極意もさることながら、明るく楽しいコーチの人柄も、選手たちが思う存分力を発揮できるひとつの要因なのかもしれません。