もしもアナタのお子さんがジュニアゴルファーで、プロになることを見据えて、日夜練習に励んでいるとしたら、親としてどんなサポートをしてあげられるだろうか。とりわけ義務教育が終わる、中学卒業後の進路は大きな悩みだ。できれば高校とゴルフを両立させながら、これまで以上にゴルフに没頭させてあげたい。そんなとき心強い選択肢となってくれるのが通信制高校の存在だ。
プロ一択の夢を叶えるためにルネサンス高校を選ぶ
そんな彼女は中学を卒業して、ルネサンス高校に進学した。
「小中学校の頃から学校にいる時間が好きで、友達と話したり、遊んだりするのが楽しかったです。放課後は練習があるので、昼休みとか、友達と思いきり弾けていたくらいですから。だから全日制高校に行きたいという気持ちも正直ありました。でもゴルフの強い高校が近所にはなくて。そのときもう信頼できるコーチがいたし、きちんと練習できる場所もあった。ゴルフに打ち込むための環境として悪いとは思えませんでした。わざわざ遠くの強豪校の寮に入ってまで、新しい環境を作らなくてもいいと思って、通信制、ルネサンス高校を選びました。あの奈紗さん(畑岡奈紗)が在籍した学校だったことも理由でしたね」
「両親も進路は好きなように決めていいんじゃない、と言ってくれました。それにまわりのみんなも、看護師になりたいから看護科へ行くとか、将来を考えて進路を決めていたので、自分もプロになるためには、と考えて選びました。そのときには通信制だから、全日制だからといった意識はあまりなかったですね」
毎日一緒に練習することのないゴルフ部の団結力
「去年の全国高等学校・中学校ゴルフ選手権大会(緑の甲子園)の団体戦に出たとき、みんなで8位以内に入れるように頑張ろうって言っていたのに、結果、準優勝。自分たちがいちばん驚いちゃって。いわゆる部活で頑張っていた高校の選手たちが泣いているのを見て、なんか申しわけないなと…。でも変に縛られることなく、楽しもうっていう自分たちにも団結力があるのかなって、みんなで笑いました。個人で動いているけど、“部” という不思議な集団なんです。でも自分には合っていますね」
ゴルフが中心でまわる彼女のとある一日とは
6:00〜6:30 起床。犬の散歩
7:30〜10:00 お世話になっているゴルフ場でお手伝い
10:00〜16:00 ゴルフ場で練習
16:00〜17:00 帰宅して軽い食事
17:30〜19:00 トレーニングジムかキックボクシングジムでトレーニング
19:30〜20:30 打ちっぱなしで練習
20:30〜22:00 夕食・入浴
22:00〜23:00 勉強・就寝
試合が続く時期は、試合に出場するため、全国の会場への移動に終始する日々が続く。一方で、ゴルフは完全オフという日も作ることを心がけているという。たまったレポートをこなしたり、映画を見たり、ゲームをしたりして過ごすという。
飯島さんの一日の過ごし方で気になったのが、キックボクシング。実は昨年の12月からジム通いをはじめたという。
「ず〜っと地味にダンベルでトレーニングするのとか苦手なんです。それでも飛距離は伸ばしたいし、ちゃんと体も作りたい。そんなとき稲見萌寧さんがキックボクシングをやっているのを見て、楽しそうだなと。キックするときの右腰を上げて鋭くまわす動きが、スイングにも通じるようで、すごくプラスになっている気がします。それなりに上達もしましたよ」
もちろんゴルフに役立つ時間でもあるのだが、ジムで人と会ったり、話をしたりするのも、いつもの日常とは違って楽しいという。
どうやら充実した日常を送っている様子の飯島さんだが、勉強についても水を向けてみた。
「自分でしっかり時間を管理して、勉強の時間もとれればいいのですが、気がついたら忘れてしまって…。おかあさんに “移動時間はレポートね” とか、勉強の時間を作ってもらっています。自分からできればいいのですが、なかなかできません。あと担任の先生が毎月20日のレポート提出に合わせて、連絡をくれたりするのもありがたいです」
ゴルフに打ち込みながら、さらなるチャレンジができる
「ゴルフの団体戦は4人で出場しても、団体スポーツと違って戦うときはひとり。バトンのないリレーのようなものです。大会としては団体戦が花形ではありますが、チームのために、学校のためにと思っているのは実は大人だけかもしれません。ですから、いきなり優勝を目指すとか言わずに、個人個人で今日は何打ずつ縮めるとか、ちょっとだけ高めの目標を与えて試合に臨んでいます」
「普段は個人で練習している部員たちに技術的な指導とかはしません。部員のほうが自分よりもはるかに上手ですし。その代わり、競技のルールとかをしっかりと教えて、ゴルフをリスペクトする気持ちをもたせるように努めています。もちろん試合へ参加するためのサポートなども行います。フレンドリーに見えるかもしれませんが、毎日顔を合わせない分、部員との距離感には気を配っています。これは部員たちが目上の人に対してどう振る舞うかということにもつながることで、この先の社会生活においても大切です。そういったこともゴルフ部を通して伝えていきたいと思っています」
夢に向かって着々と前進を続ける飯島さん。その背景にはルネサンス高校というステージが大きく役立っている。たとえば小中学校での学校生活が楽しかった彼女には、毎日学校へ通うことのない生活が退屈で、もの足りなく感じることもあると言う。だが彼女はそれも仕方ないなと考えている。なぜならその代わりに、自分の好きなように、やりたいことをするための時間があるからだ。先に紹介した、キックボクシングのジムに通っている話をしてくれたとき、彼女はこう話していた。
「プロを目指すためにこの学校を選びましたが、毎日、一日中ゴルフだけではもったいない。ゴルフをするためだけでなく、いろいろなことにチャレンジしてみたかったというのも、ルネサンス高校を選んだ理由でした。キックボクシングだけでなく、中学時代に続けていた野球、それにダンスや水泳にも挑戦してみたい。それがきっとゴルフにもプラスになると思っています。そのためには中途半端にはやりたくない。そうなると全日制の高校に通っていたら、時間が足りません。でもルネサンス高校であれば、やりたいと思ったことをすぐに行動に移せるんです」