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V賞金6億円超の米女子最終戦 史上初“日本人女王”誕生なるか?「シンプルに面白い大会です」【石井忍の目】

米国女子ツアー最終戦となる「CMEグループ・ツアー選手権」が現地時間20日から始まる。今年は日本勢8人が出場。米女子ツアーの中継を行うWOWOWで解説を行うプロコーチの石井忍氏が、今大会の展望を語る。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年11月20日 12時30分

過去に2度の2位を果たしている畑岡奈紗(左)、ポイントランク日本勢トップの山下美夢有と注目選手は多い
過去に2度の2位を果たしている畑岡奈紗(左)、ポイントランク日本勢トップの山下美夢有と注目選手は多い (撮影:南しずか)

米国女子ツアーはきょう20日から、いよいよシーズン最終戦を迎える。先週終了時点のポイントランキング60位までの選手が出場するエリートフィールドに、今年は過去最多となる日本勢8人が出場する。米女子ツアーの中継を行うWOWOWで解説を行うプロコーチの石井忍氏が、その展望を語った。

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■今大会で2025年の年間女王が決定

「今シーズンもいよいよ最終戦まできました。この大会で年間女王が決定しますが、ここまで得たポイントは関係なく、優勝した選手が2025年シーズンの女王となります。テレビ番組でいう“クイズの最終問題”みたいな仕組みですね」

年間女王になる条件は“優勝”のみ。ここまで積み上げたポイントに関わらず、すべての選手が横一線のスタートで“勝者=2025年のツアー女王”となる。そして勝者は名誉のほかに、賞金400万ドル(約6億2000万円)というビッグマネーが与えられる。

「去年はティティクル選手が勝って、賞金400万ドルを手にしました。年間獲得賞金は600万ドル超えです。ツアーは年間の積み上げより、この最終戦の賞金格差のほうが大きいです。現在賞金ランキング1位のミンジー・リー選手は382万ドル。たとえば、(ポイントランク)60位の選手(パジャレー・アナナルカルン、約54万ドル)が優勝すれば、一気に450万ドルになる世界。だからこそ、全員が“ビッグマネードリーム”をつかみにいく。60位以内しか出られない非常に狭いフィールドで、大金を競い合う、シンプルに面白い大会です」

昨年はジーノ・ティティクル(タイ)が制し、年間獲得賞金は605万9309ドル(約9億3000万円)でシーズンを終えた。これは2007年にロレーナ・オチョア(メキシコ)が稼ぎ出した436万4994ドルを上回り、ツアー新記録だ。賞金の高騰が続くが、それは選手たちにとって大きなモチベーションにもなる。

■今シーズンの日本勢戦績を振り返る

今季は日本勢13人が米ツアーを主戦場にした。3月の「ブルーベイLPGA」ではルーキーの竹田麗央がメンバーとして米初優勝を挙げると、4月の「シェブロン選手権」では、西郷真央がメジャー大会でツアー初勝利を手にした。

続く5月の「リビエラマヤオープン」では米1年目の岩井千怜がツアー初優勝。7月の「AIG女子オープン」(全英)では同じく1年目の山下美夢有がメジャー初制覇も達成。勢いはとどまることを知らず、8月の「スタンダード・ポートランドクラシック」ではこちらもルーキーの岩井明愛が、10月「メイバンク選手権」では山下が今季2勝目を挙げた。さらに11月の「TOTOジャパンクラシック」では畑岡奈紗が3年ぶりVと、日本勢の活躍が際立つシーズンとなった。

前戦の「アニカ・ドリブン by ゲインブリッジ at ペリカン」終了時点で来季の出場優先順位(カテゴリー)も決定。フルシード権が得られるカテゴリー1(トップ80)には、西郷、畑岡、勝みなみ、古江彩佳、吉田優利のほか、山下、竹田、明愛、千怜、馬場咲希の5人のルーキーも入った。

「今年はとにかく日本勢の実力が際立ちました。馬場選手は昨年プロ入りし、日本での優勝経験はまだない。他の4人のように“日本で実績を積んでから米へ”という流れとは異なります。最終戦には届きませんでしたが、カテゴリー1入りは本当に素晴らしい。吉田選手は昨季、ポイントランク100位に入れず、日本QTと米Qシリーズに挑戦。そこから這い上がってカテゴリー1入りですから、これも素晴らしい結果です。西村選手はもう一歩でしたが、先週ランキングを127位から115位へ12ランクアップ。カテゴリー16を確保し、前半戦は何試合か出場できるはず。今後の予選会でさらに上げてほしいですね」

■日本勢は過去最多となる8人が出場! 活躍に期待がかかる

日本勢は、ポイントランク2位で今年のルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)に輝いた山下をはじめ、竹田(同4位)、西郷(同11位)、畑岡(同12位)、岩井明愛(同13位)、岩井千怜(同15位)、勝(同18位)、古江(同25位)の8人が最終戦出場者に名を連ねた。

「去年は古江選手が8位、21年と23年では畑岡選手が2位など、日本勢が上位の成績を残している大会。だからこそ、今年も日本人選手の活躍が期待されますし、史上初となる日本人の女王が誕生する可能性もあるでしょう」

石井は10月のメイバンク選手権でWOWOWの現地リポーターを務め、山下の2勝目を見た。「山下選手は攻めと守りのバランスが絶妙です。ショットが正確だから、みんなが刻むような狭いホールでも彼女はドライバーを持てる。セカンドで短い距離をつくれて、ショートゲームがまた上手い。平均スコアのスタッツで上位(現在4位)にいる理由がよくわかります。今週も注目ですね」と話した。

今季1勝の竹田は29試合に出場し、前半は優勝争いが続いた。「全米女子オープン」(2位)以降は予選落ちこそないものの、終盤はなかなか優勝争いに絡めていない。「最近はやや停滞気味ですが、ウッドを入れ替えるなど調整しています。飛距離、ショットの安定感を武器に、こういったスコアが出るコースは得意だと思う。バーミューダ芝はアイアンの入りが大事なので、しっかりボールをコンタクトできる竹田選手には有利かもしれません」と見通しを立てた。

過去に準優勝を2度経験している畑岡にも注目。「8年連続、8度目の出場。畑岡選手はフロリダが“第2の地元”みたいな感じで、相性も良いと思います。FM選手権からはトップ10をほとんど外しておらず、TOTOジャパンクラシックでは3年ぶりに勝ちましたね。流れもいいですし、先週はオフで少し休養も取れているはず。優勝争いも見えてくるのではないでしょうか」と期待を口にする。

海外勢では、昨年覇者のティティクル、ネリー・コルダ(米国)といった強豪選手に加え、ルーキーでFM選手権を制した26歳のミランダ・ワン(中国)、22歳のナタリヤ・グセバ(ドイツ)にも注目。「グセバ選手は、先週の最終日、最終18番で3打目を入れてバーディフィニッシュ。それにより、(ポイントランク)64位から57位に順位を上げて最終戦に滑り込みました。スイングもきれいですが、球が強くて飛ばします。注目の一人ですね」と話した。

2025年の“年間女王”が決まる一戦は、日本時間20日午後9時50分に第1組がティオフする。日本勢で先陣を切るのは、同21日午前0時40分スタートの古江彩佳。8人が出場する日本勢の戦いぶりに注目したい。

▼石井忍(いしい・しのぶ)1974年生まれ、千葉県出身。東京学館浦安高、日大ゴルフ部で腕を磨き、98年にプロテスト合格。2010年にツアープロコーチとして活動を始め、多くの男女ツアープロを指導。また「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアへの指導にも力を入れている。現在は将来プロになることを目指している25歳以下の女子選手が出場するマイナビ ネクストヒロインゴルフツアー、米国女子ツアーの中継を実施しているWOWOWの解説も行っている。

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