【第8回】米国合宿から帰国後に本当の苦悩「今年いっぱいは無理かも」
4年前、村田理沙がプロテストに合格して涙【写真】
早いもので2020年も残り1カ月を切りました。
例年なら街中にクリスマスソングが流れ出し、あるいは新年の準備を始める時期です。ゴルフ界でいえば男女のレギュラーツアーが終了し、プロはエキシビションやイベントの出演が多くなります。
しかし、今年は……。
3月ぐらいから世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるい、いまだに収束の様相を見せません。人々の生活は一変し、いろいろな分野で「自粛」が求められました。ゴルフ界も例に漏れず次々に試合が中止となり、再開されても無観客試合が続いています。
2019年のQTは1打足りずにファイナル進出を逃し、QTランキングは99位。2020年の主戦場はステップ・アップ・ツアーになることが決まりました。米国での経験を結果につなげられず悔しかったですが、すぐに前を向いた。
「前回のステップのころと自分を比較できるし、与えられたステージで頑張るしかない。身の丈に合った生き方も大事だし、実力を上げるしかない」
レベルアップのポイントを具体的にいうと、飛距離アップとショット力。将来、米国に再チャレンジするには飛距離が足りないし、2016年から2018年にかけてゴルフにならない時期があったので、スイング全体を徹底的に見直していたのです。
年が明けて2020年1月、私は米国のコーチの下で先に挙げた2ポイントを重点的に練習していました。ジュニアのころから頭が動くスイングだったのですが、アドレスからやり直した。最初は違和感タップリだったのですが、年を追うごとに身についていくのが自分でも理解できたのです。そういう意味では「楽しみな2020年」だったのですが……。
1月下旬ぐらいからコロナのニュースが増え始めた。最初はアジアが中心だったので、「日本は大丈夫かな」という会話をしていました。私は2月20日ごろに帰国したのですが、3月上旬ぐらいから今度は「米国がやばいよね」となった。今思えば、ギリギリのタイミングで日本に戻れてよかった、という感じです。
でも、本当の試練は帰国後から始まった。レギュラーツアーの初戦(ダイキンオーキッドレディス)が中止になり、ステップはどうなるんだろうと考えていたら、次々にレギュラーツアーが中止になっていった。当然、ステップも中止、延期のオンパレード。次第に「今年いっぱいは難しいかも」という不安に襲われる。身の丈に合ったステージで頑張ろうという目標が、どんどん崩れ去っていった時期でした。
さて、8回で終わろうと思った連載ですが、2020年のさまざまな思いを1回で語るのが難しかったので、もう1回だけ延長させてください。次回が最後となりますが、お付き合いいただければ幸いです。
■村田理沙(むらた・りさ)
1995年6月22日、東京都三鷹市出身。身長161センチ、体重52キロ。祖父母の影響で8歳からゴルフを始めた。杉並学院高校(東京都)から山梨学院大学(山梨県)に進学したが中退し、まずは日本のプロテストに専念。3回目の2016年7月29日に合格し、晴れて正式な女子プロゴルファーとなった(88期生)。2019年には米国下部「シメトラツアー」でプレー。帰国後に日本のQTを受け99位の成績だったことから、今年はステップ・アップ・ツアーを主戦場としている。アメリカ人の父と日本人の母を持つ美人プロとしても有名。ゼビオホールディングス所属。
