プロゴルファーにとって、試合数が多いのはありがたいことだ。個人競技である以上、試合数やトレーニングなど、肉体を自分でコントロールしなければならないのも当たり前。ツアーとしては、できる限りトッププレーヤーを多くの試合に出したいだろうし、選手の側にも、その義務がある。しかし、それで選手を壊してしまうのでは本末転倒だ。
出場義務試合数が厳しいのは、ファンに対してではなく、スポンサーに対する気遣いの部分が大きい。以前にも書いたが、プロスポーツは常に“ファンファースト”であるべきだ。ゴルフを本当に好きなファンが楽しめるのは、若手とベテランが常に戦うような層の厚いツアーではないだろうか。大山や市原、50歳で日本プロに勝った谷口徹や、現在公傷で休んでいる表純子のように、息の長い選手を増やすためには、ツアーそのものの仕組みを根本的に変える必要がある。スポンサーのためではなくファンのための出場義務試合数を設定する。そのためには、やはり興行を最優先にしたツアーの構築を目指さなくてはならない。
選手がいてこそのプロスポーツ。その選手がより輝くことによって、ファンはその魅力に引かれる。ところが、スポンサー頼みで試合を開催するから「トイレの設置やローピング、ギャラリーバスなどに金がかかるから、ギャラリーなど少なくていい」などという愚かな発言が、関係者から出てきてしまう。30年以上前から続くこのスタンスを変えない限り、本当のプロスポーツとしてゴルフが根付いたとはいえない。肉体的、精神的な負担が選手のモチベーションを下げ、選手生命を縮めるようなことがあってはならない。現実から目をそらすことなく、将来を見据えて考える時期はとうにきている。(文・小川淳子)