その間、周囲の声や活躍が、折れかかる心を支えてくれた。「昨年12月には、友人が”青木瀬令奈さんの尊敬する人物が大山志保さんってなっていたよ”といってくれて、そう思ってくれる後輩がいるんだなって。4月には、古閑(美保)ちゃんの旦那さんの小平智くんがアメリカで優勝。私はいまでもアメリカでやりたい気持ちを持っている。“本当にすごいな”って。永峰咲希ちゃんの初優勝など宮崎出身の後輩たちの活躍も刺激になりました」。
復帰はしたものの、まだ完治しているわけではない。ギャラリーから大きな拍手で迎えられた最終18番グリーンに降り立ったときには痛みがでていた。それでも自身のプレーを見守ってくれた大山の身を支えるのは情熱のみだ。
「いままで怪我を繰り返すたびに、復活できて、心がどんどん強くなっている。正直、技術は昨年より落ちています。でも、復帰してからは(心のなかの)ほんの1%だけ、”今年優勝できないかな”と思っていました。いまは夢のようです。神様から試練を与えられて、精神面で乗り越えられたから、神様がごほうびをくれたのだと思います」
黄金世代など若手選手が注目されることの多い今季の国内女子だが、大山が観客と作り出す”熱気”はまだまだツアーに必要だ。(文・標英俊)