アドレスで良い部分は他にもある。「バンカーの上手い人って足裏を砂を噛むように動かすんです。棒立ちで立つ人はいない。砂に足を埋めて砂の状況を確かめながら、自分のポイントを作る。そういう上手さも抜けてる」。固い、柔らかい、ぱさぱさ、ウェット。砂の状態を感じられる足裏で感じられる感覚はツアーでも屈指。もちろん、どの状況にも対応できる技術も。
「これ以上シンプルな打ち方はありません。だから本人はさほどバンカーというハザードを難しく考えていないはず。その気持ちが自信を生み、自信があるから凄く高い集中力が出ています。そしてもう1つ、何故自信を持ってできるかというと寄せやすいサイドのバンカーに入れにいっているからです。“寄せてパーを獲れるバンカー”という気持ちは余裕を生み、余計な力みをなくしています」
そんな上田に辻村氏がやらせているバンカーの練習方法が2つあるというので紹介したい。まずは左足一本打ち。
「さきほどアドレスでしっかり左体重になっていると話しましたが、それをより感じるために左足一本で立ってバンカーショットをします。当然力で行けば砂に刺さり過ぎてしまいますし、しゃくりあげようとすれば左足一本で立っていられないでしょう。余計な動きをせずクラブの重みをスッと落とす。その感覚が身に付くでしょう。とにかく力を抜くことです」
もう1つが目玉となったボールを打つ練習。「ボールを3分の2くらいをコンコンと沈めて目玉にする。それをクラブを上から落としてふわっと上げる。みなさん、特にアマチュアの人はボールが埋もれれば埋もれるほど力づくでやろうとする。パワーが必要だと勘違いしている。違うんです。道具の重みで上げるんです。力を入れずにポンっと叩いて45度くらいの角度でふわっと上げる。いくら上手いと言った上田さんでも悪くなる時があって、こういった練習をして調整しています。もちろん先ほどの練習とのミックス、目玉を左足一本で打つのも効果的です。それができるようになればもうバンカーは怖くありません!」