「それをきっかけに、ちょっとずつ前を向いて、もっと頑張らないとと思ってやっていたような気がする。遅いんですけど、桑田社長が亡くなってしまったことで、すごくゴルフに対するやる気が出ました」
するとキャディバックにも、少し変化が。
「桑田社長が亡くなったことをきっかけに、またアレすけと一緒に戦うことになったんです。見るたびに社長を思い出して悲しくなることもあるんですけど、“自分は一人じゃない”、そう思わせてくれるヘッドカバーです」
スタンレーレディスでは、まさしく土壇場で優勝を手繰り寄せた。バーディを奪ってトップに並んだ正規の最終18番(パー5)、そして同じ18番を使用したプレーオフの2ホールでは、いずれもピンを狙う3打目でベタピンショットをそろえた。実に渋野らしい劇的な勝利。「スイング改造の集大成」という言葉も出た大会での涙の優勝劇は、決して一人で演じきったものではなかった。(文・間宮輝憲)