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【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】東京マラソンで実感した2つのこと

【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】東京マラソンで実感した2つのこと

配信日時:2019年3月5日 17時55分

夏は猛暑となる霞が関CC 東京五輪に向けての対応が求められる
夏は猛暑となる霞が関CC 東京五輪に向けての対応が求められる (撮影:山代厚男)
ひな祭りの3日、雨と寒さの中で行われた東京マラソン。ここで改めて感じたことが2つある。応援のありがたみと、悪条件からすべての人を守る必要性だ。

1つは、応援がどれほど選手の力になるか、という点だ。「皆さんの応援が力になりました」というアスリートの声を記事にしたことは、数えきれないほどある。それを痛いほど実感した最初の経験が、やはり東京マラソンだった。制限時間ぎりぎりの素人のファンランナーの初めてのフル。ボロボロの状態はトップアスリートのそれとは比べ物にならない。だが、応援してもらうとうれしく「もう少し頑張ろう」という気持ちになるのは紛れもない事実だ。苦しい時、親しい人の応援や声や顔に勇気づけられたり、まったく知らない人からでも、手を振りながら「頑張れ〜」と言ってもらえることでもらうエネルギーは、同様に感じているはずだ。日常的に孤独な練習に耐えているアスリートたちも、苦しい時ほど、そこでのプラスアルファは心の支えとなる。今年の東京マラソンは、出場した数人の知人の応援(といっても1カ所で声をかけただけだが)をしたが、それでも、うれしそうな顔で手を振りかえしてくれるとこちらも元気になる。知らない選手たちにも声をかけると、疲れた顔に笑顔を浮かべてくれることもしばしばだった。

間もなく開幕する女子ツアーの優勝スピーチでも、応援に対する感謝の言葉を聞くことは多い。特に緊張が大きい初優勝などの時には、実感を伴っている。だが、優勝経験が多い選手で、それが上っ面だけのものに聞こえることもある。優勝争いとは遠いところにいる者になると、むしろギャラリーに対して冷たいことすらある。これではいけない。どれほどうわべを取り繕っても、本心が見えてしまうこともあるからだ。

実力や得意技、ルックスなど、トップアスリートにファンがつく要素はたくさんあるが、ファンの多い選手からは、「心からの感謝」と「ファンを大切にする気持ち」が必ずといっていいほど伝わってくる。ファンだけではない。身近で応援してくれる人、サポートしてくれる人に対しても同じことがいえる。

裏を返せば、実力十分なのにファンが意外に少なかったり、周囲のスタッフの入れ替わりが激しい選手は、プラスアルファのエネルギーなしに戦い続けなくてはならないことになる。周囲で見ていて理由はすぐにわかるというものだ。アスリートだけではなく、誰にでもいえることだが、、どんなに成長し、大きくなったとしても、最初に応援してもらったときにもらったエネルギーの大切さと感謝。これを忘れないことこそ、人として大きく成長する絶対条件だろう。

もうひとつ、今年の東京マラソンで痛感したことは、屋外スポーツのイベントは天候次第では人々の生命にも危険を及ぼすということだ。

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